宮崎県議会 > 2018-09-13 >
09月13日-04号

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  1. 宮崎県議会 2018-09-13
    09月13日-04号


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    最終取得日: 2023-05-20
    平成30年 9月定例会平成30年9月13日(木曜日) 午前10時0分開議  ───────────────────   出 席 議 員(36名) 1番 武 田 浩 一 (自由民主党くしま)  2番 有 岡 浩 一 (郷中の会)  3番 重 松 幸次郎 (公明党宮崎県議団)  4番 来 住 一 人 (日本共産党宮崎県議会議員団)    5番 岩 切 達 哉 (県民連合宮崎)    6番 西 村   賢   (宮崎県議会自由民主党)    7番 後 藤 哲 朗 (  同  )    8番 二 見 康 之 (  同   )  9番  日 高 博 之 (  同  )   10番 野 﨑 幸 士 (  同  )   11番 日 髙 陽 一 (  同  )   13番 蓬 原 正 三 (  同  ) 14番 図 師 博 規 (愛みやざき) 15番 河 野 哲 也 (公明党宮崎県議団)   16番 前屋敷 恵 美 (日本共産党宮崎県議会議員団)   17番 渡 辺   創 (県民連合宮崎)   18番 髙 橋   透 (  同  )   19番  徳 重 忠 夫 (宮崎県議会自由民主党) 20番  丸 山 裕次郎 (  同  )    21番 中 野 一 則 (  同  ) 23番 横 田 照 夫 (  同   )   24番 黒 木 正 一 (  同  )   25番 松 村 悟 郎 (  同  )   27番 井 上 紀代子 (県民の声)    28番 新 見 昌 安 (公明党宮崎県議団)   29番  田 口 雄 二  (県民連合宮崎)   30番 満 行 潤 一 (  同  ) 31番 太 田 清 海 (  同  )   32番 緒 嶋 雅 晃 (宮崎県議会自由民主党)   33番 右 松 隆 央 (  同  )   34番 山 下 博 三 (  同   )   35番  濵 砂   守 (  同   )   36番 坂 口 博 美 (  同  )   37番  星 原   透 (  同  ) 38番  井 本 英 雄 (  同  )   39番 外 山   衛  (  同  )  欠 席 議 員(1名) 22番 中 野 広 明 (宮崎県議会自由民主党) ─────────────────── 地方自治法第121条による出席者  知     事 河 野 俊 嗣  副  知  事 郡 司 行 敏  副  知  事 鎌 原 宜 文  総合 政策部長 日 隈 俊 郎  総 務 部 長 畑 山 栄 介  危機管理統括監 田 中 保 通  福祉保健 部長 川 野 美奈子  環境森林 部長 甲 斐 正 文  商工観光労働部長 井 手 義 哉  農政水産 部長 中 田 哲 朗  県土整備 部長 瀬戸長 秀 美  会 計 管理者 福 嶋 幸 徳  企 業 局 長 図 師 雄 一  病 院 局 長 桑 山 秀 彦  財 政 課 長 吉 村 達 也  教  育  長 四 本   孝  警 察 本部長 郷 治 知 道  代表監査 委員 高 橋   博  人事委員会事務局長 原 田 幸 二 ─────────────────── 事務局職員出席者  事 務 局 長 片 寄 元 道  事 務 局次長 上 山 伸 二  議 事 課 長 齊 藤 安 彦  政策調査 課長 日 髙 民 子  議事課長 補佐 濱 﨑 俊 一  議事担当 主幹 山 口 修 三  議事課主任主事 井 尻 隆 太  議事課主任主事 三 倉 潤 也──────────────────── △一般質問 ○議長(蓬原正三) これより本日の会議を開きます。 本日の日程は一般質問であります。 ただいまから一般質問に入ります。 質問についての取り扱いは、お手元に配付の一般質問時間割のとおり取り運びます。〔巻末参照〕 質問の通告がありますので、順次発言を許します。まず、図師博規議員。 ◆(図師博規議員) 〔登壇〕(拍手) おはようございます。一般質問トップバッター図師博規です。先般通告しておりました内容に従って、順次質問をしてまいります。 まず、子供を犯罪から守るための取り組みについてお伺いいたします。 ことし5月、新潟県新潟市で、小学2年生の女の子が下校途中に連れ去られ殺害されるという痛ましい事件が起きました。私は、議員である前に幼子を育てる父親として、この事件とその背景にあるものを絶対に許すことはできません。おそらく同じ気持ちで野﨑議員も、6月に同様の項目を質問されたと思います。さらに踏み込んだ質問をしてまいります。 逮捕された男は、下校途中に少女を車に押し込み、首を絞め殺害した後、遺体を線路上に放置し、電車にひかせ、事故死に見せかけようとした、極めて残忍な手口で女児をあやめました。もし我が子が同様な目に遭わされたとするならば、私は正気でいることも、また、自分の行動を自制することもできないでしょう。 残念ながら、こうした連れ去り事件は後を絶ちません。子供が被害に遭うケースは、全国的には年間100件前後で推移しています。文部科学省の調査では、事件防止のため、全国の小学校の約6割で集団登下校を実施し、9割近くが保護者や地域のボランティアらによる見守りを実施していますが、下校時間帯は幅があるために、登校時に比べると、一人一人を見守ることは難しく、手薄になった見守りのすきを突かれ、子供たちが被害者となっています。 また、防犯教育の一環で、子供たちみずからが学校周辺を歩いて、不審者があらわれやすい場所を探し出し、手づくりの防犯マップを作成している学校があり、学校が警察から不審者情報を入手し、保護者らにメールで流し、注意喚起する取り組みも全国的に行われております。 その注意喚起に関してですが、今回の犯人は女児殺害をする1カ月ほど前にも、女子中学生を連れ回したことで書類送検されたものの、逮捕には至っていませんでした。 周辺住民がその中学生連れ回しの事実を知ったのは、殺害事件後であったということで、「連れ回し事件が公になっていれば、女の子が犠牲にならずに済んだのではないか」という声も多数上がっております。 そこで、警察本部長にお伺いします。現在13歳未満の被害者に対し、性犯罪を犯し服役した出所者について、警察庁が情報を取りまとめ、各警察本部や警察署に出所者情報を提供する「再犯防止措置制度」というものがあります。 では、この再犯防止措置制度がどういったものなのか、また実際、犯罪から子供たちを守るためにどのように活用されているのかを御答弁ください。 以下の質問につきましては、質問者席から行います。(拍手)〔降壇〕 ◎警察本部長(郷治知道君) 〔登壇〕 お答えします。 再犯防止措置制度とは、警察庁が法務省から、13歳未満の子供を被害者とした暴力的性犯罪で服役して出所した者に関する情報の提供を受け、各都道府県警察において、当該出所者の所在確認や、必要に応じて当該出所者の同意を得て面談を行うなどの再犯防止に向けた措置をとるものでございます。 これにより、当該出所者が警察の存在を身近に感じて自制心を保ち、また、警察からの助言を受け更生意欲を奮い立たせることが期待されます。 なお、情報提供を受けた当該出所者の数や面談回数等の運用状況につきましては、当該出所者個人情報保護の観点から、答弁を差し控えさせていただきます。以上であります。〔降壇〕 ◆(図師博規議員) 今の御答弁によりますと、出所者情報は警察内部では共有されるものの、周辺住民へ知らされることはなく、地域で予防的に子供たちを守るための対策には役立つことができていません。この質問をつくるに当たり、担当者の方ともちょうちょうはっしで意見交換させていただきました。せめて、宮崎県内にその対象者が何人いるのかだけでも、地域はいいから、数だけでも教えられないかというお話をさせていただきましたが、それ以上、前に進むことはありませんでした。 ここでは、諸外国の先進事例を引き合いに出すのではなく、本県としてどのような取り組みができるのかを考えていきます。 本県でも、子供たちを守るため、PTAの方々などによる見守り活動や青パトの巡回などにより、一定の予防効果は上げていると思います。 一方、大阪では、さらに積極的に子供たちが巻き込まれる性犯罪の増加を食いとめるために、平成24年に「子どもを性犯罪から守る条例」が制定され、18歳未満の子供に対し、強制わいせつなどの性犯罪者のうち、刑期満了5年を経過していない者が、大阪府に住所を定めた場合、14日以内に住所などの届け出の義務を課すとともに、知事は必要に応じて警察本部長に協力を求めることができるとなっています。 さらに宮城県では、性犯罪前歴者やDVの加害者を対象にGPS携帯を義務化し、警察が24時間監視することを検討した経緯もあり、既に「子どもを犯罪の被害から守る条例」が平成27年に策定されています。 このほかにも、奈良県、栃木県、長野県でも同様の条例が制定されており、県民総ぐるみで、子供たちが安心して生活できる環境づくりのために取り組みを実践されています。 そこで、知事にお伺いいたします。子供を含めた弱者を守るという観点から、地域の防犯体制を拡充する新たな取り組みが今、必要だと考えますが、知事の御所見はいかがでしょうか。 ◎知事(河野俊嗣君) 御指摘がありました新潟県の事件、非常に痛ましい事件でありまして、大変心を痛めたところであります。 子供は地域の宝、社会の希望であり、未来そのものであると考えております。子供の健やかな育ちを確保することは、この社会の未来へとつながる大変重要な取り組みであると考えております。 そのような大切な子供も含めた弱い立場にある方々を守るため、県では、犯罪のない安全で安心なまちづくり県民会議が主体となりまして、青色防犯パトロールカー支援防犯アドバイザーの派遣などにより、見守り活動を行っているところであります。さらには、防犯メールによる情報提供などの取り組みを行っております。今、人口減少、高齢化が進む中で、全国各地ではさまざまな取り組みが行われております。子供の登下校時に合わせて、例えばジョギング、ウオーキング、犬の散歩、庭の水やり、そういう形で地域全体として見守りを行っていこうというような動きもございます。しっかりと力を合わせて、そういう安全のネットワークを築いていく、そういう社会づくりも大変重要であろうかと思います。 議員がさまざまな各県の取り組みを御紹介いただいたところでありますが、警察などからの安全情報をより多くの人が共有でき、地域コミュニティー自主防犯活動がさらに活性化され、子供や高齢者等の弱い立場にある方々、事件や事故、災害から守られるような社会づくり地域づくりにこれからも取り組んでまいりたいと考えております。 ◆(図師博規議員) ぜひ知事には、子育てをともにする世代として、さらに踏み込んだ施策を期待しております。 大阪府は、この条例を制定するに当たり、子供の安全を最優先に、国の動きを待つのではなく、大阪府が先駆けることにより、国の法制度化を促すという強いリーダーシップを示されています。 河野知事が、大阪府のこの行動に呼応し、宮崎県のさらなる防犯体制に取り組まれることを期待しております。 続きまして、宮崎県立高等学校教育整備計画後期実施計画について伺ってまいります。 平成31年から34年までの県立高校の整備計画が示された後期実施計画ですが、その中で県が示す、1学年4クラス以上、1学級40人とする適正規模に満たないという理由で、都農高校の統廃合が打ち出されました。 ここ2年は都農高校への入学者数が回復していたこともあり、地元都農町からは存続を求める声が大きく、ことし6月には、都農町議会から「都農高校の閉校について再考を求める意見書」が、知事と教育長宛てに提出されました。 都農高校以外にもこの適正規模を満たしていない学校は、高千穂高校日向工業高校宮崎海洋高校、本庄高校、日南高校、福島高校、飯野高校と複数にわたっているにもかかわらず、後期計画で統廃合となるのは都農高校だけです。 知事は、学校は地域の拠点であり、地域振興を担う人材育成や、ふるさとの活性化に貢献する重要な拠点であり、その役割を担っているという答弁を再三、繰り返されてきました。にもかかわらず、教育委員会は淡々とその拠点の統廃合を進めています。 改めて、今回なぜ都農高校だけが再編統合されたのか、その経緯を教育長に伺います。 ◎教育長(四本 孝君) 君) 都農高校につきましては、都農町及び関係機関と協議を重ね、学校の魅力化推進等の支援を行ってまいりましたが、県立高等学校教育整備計画中期実施計画の方針や、学校教育改革推進協議会児湯地区部会の協議を受け、平成28年12月に、平成31年度からの生徒募集を停止するとの方針を決定したところであります。 ことし6月に都農町議会から、都農高校の閉校について再考を求める意見書が提出されましたが、都農町に対しましては、改めて再編統合の方針を説明し、都農町長からは、「統廃合については、まことに残念で、断腸の思いではあるが、県の方針を受け入れることとしたい」との回答があり、一定の理解をいただいたところであります。 ◆(図師博規議員) 都農町長の御回答の中にあった断腸の思いとは、中国の故事で、子供の猿をさらわれた母親が、その後その子猿を追いかけて100里ほど走ります。約400キロメートルぐらいですね。そして、やっと子猿に追いついたときには、息絶えてしまいます。その母猿の腹を裂くと、その腸はずたずたに断ち切られていた、それぐらいつらい思いしながらも、母猿は子猿を追いかけるのです。子供たちから無理矢理に引き離されることになった都農町民の方々の思いを、この断腸の思いという言葉は、まことに的確に表現していると思います。 私が所属する文教警察企業常任委員会で、先日、群馬県教育委員会を訪れました。群馬県でも、統廃合の検討に当たり、その計画が示されておりましたが、群馬県では、統廃合は、地域住民や学校関係者などと懇談会を開催し、さらには準備委員会を設置、意見聴取会、意見交換などを実施する、その流れを公開で、公にしております。議員も、もちろん参加ができます。 懇談会が立ち上がり、再編統合が決定されるまでに、群馬県は実に8年から9年ほどかけ、慎重に議論が積み上げられ、その中で地元自治体から賛同が得られない場合には、再編は先送りされ、無理のない地域から計画が推進されていくとの説明がありました。 宮崎県の場合は、地域での協議会は開催されるものの、非公開で議員の参加は認められず、その協議会の経緯を、教育委員会に資料の提出を求めたところ、提出される議事録は黒塗りがほとんどで、協議の経過が全くわからないことなどを伝えると、群馬県教育委員会の方々は大変驚かれていました。 なぜ本県は、群馬県のような丁寧な対応ができないのか、再度、教育長に伺います。 ◎教育長(四本 孝君) 君) 本県におきましては、教育整備計画の策定に当たり、地域の保護者や産業界の代表、教育関係者などによる学校教育改革推進協議会の地区部会を開催するなど、地域の教育のあり方について、全県的視点から御意見をいただいているところであります。 また、学校の再編統合など教育整備のあり方につきましては、地元と十分な協議を重ねて進めてきたところであります。 今後は、高等学校と地域との連携がますます重要になりますことから、他県の先進的な事例等も参考にしてまいりたいと考えております。 ◆(図師博規議員) 私は、後期実施計画が示される際には、先ほどから申しております1学年の適正規模が見直されるものとばかり思っておりました。 1学年4クラスから8クラスで、1クラス40人、1学年4クラス以下の学校が定員を満たない状態が続いた場合には統廃合を検討する。県が示すこの適正規模は、既に学校現場と乖離しており、基準に則した統廃合が進められていないがゆえに、不公平感が生じているのです。 長野県や三重県では、小規模校を存続させるために独自に適正規模を策定しています。特に長野県は、1学年2学級でもよしとし、本県の半分です。さらに、1学年2学級規模の定員に満たない程度に小規模化しても、すぐには募集停止や統廃合の対象とすることにはせず、地域キャンパス、いわゆる分校化して地域の高校生の学びの選択肢を残す、そういう取り組みをされています。 同じ中山間地を抱え、そして財政規模もそう変わらない長野県にできて、なぜ本県にできないのか。今まさに、教育委員会が示しております適正規模を見直す時期に来ておると考えますが、教育長の見解をお伺いします。 ◎教育長(四本 孝君) 君) 高等学校の規模が小さくなってまいりますと、生徒同士の切磋琢磨や学び合いの機会が減少し、深まりのある教育活動を展開しにくくなることに加えまして、幅広い教科・科目等の学びを設けることや、さまざまな部活動を開設することが制限されるなどの課題が生じるものと考えられます。 今後、高等学校の小規模化が進展する中、地元自治体と連携体制を構築し、保護者や地域が学校運営へ参画する仕組みを通して、生徒たちにとってよりよい教育環境を提供できるよう、議論を深めてまいりたいと考えております。 ◆(図師博規議員) 平行線であるという感です。もう今となっては、都農高校の来年度の募集停止を白紙に戻すことはできないかもしれません。 それであれば、都農高校が統合される高鍋高校において、学科等の都農高校からの受け入れ体制はどのような体制を取られるのか、教育長に伺います。 ◎教育長(四本 孝君) 君) 高鍋高校につきましては、東児湯地域の中核となる学校として、進学、就職、スポーツなど、生徒の多様なニーズに対応した普通科系の高校として、平成31年度の入学生から、新しい学科を設置するなどの魅力づくりを行っております。 新設する探究科学科では、地域課題を主体的に探究するとともに、ハイレベルな学習を通して、将来、幅広い分野で活躍する人材の育成を目指すこととしております。 また、都農高校の充実したキャリア教育の取り組みを継承し、基礎的・基本的な学力を身につけながら、情報関連の科目を取り入れた特色あるカリキュラムで学習する「キャリア情報クラス」も開設することとしております。 ◆(図師博規議員) 本来であれば地元にある高校に進学できていた子供たちを、この再編統合で遠方まで通学することを強いる、それがこの高校再編の計画であります。 これは都農高校の場合に限ったことではなく、今後進められるであろう統廃合においても、通学の足の確保は、統廃合を進める県の責任において講じるべきです。 現時点でも、福島高校や本庄高校、飯野高校において遠方から通学する生徒の支援をすることが、生徒数減少に歯どめをかけることにもつながります。 私立高校によるスクールバス運行は既に広範囲で行われており、一部県立高校でも、PTA主導によりスクールバスを導入しているところもあります。 今後、県として、遠距離通学をする生徒への修学支援をさらに拡充すべきと考えますが、教育長のお考えはいかがでしょうか。 ◎教育長(四本 孝君) 君) 通学に要する費用につきましては、基本的に保護者等が負担をすべきものでありますが、県内の高校生が安全に安心して学習できる環境を確保し、通学を含め、生徒や保護者の負担を減らすことは大変重要であると考えております。 このような点を踏まえ、県では、県内6カ所に地区生徒寮を設けておりますほか、授業料以外の教育費を支援する「奨学のための給付金」制度等も設け、負担軽減を図っているところであります。 ◆(図師博規議員) 今回の質問を作成するに当たり、都農町また町民の方々と、本当にいろんな意見交換をさせていただきました。先ほど申しました不平等感を感じている方々もたくさんいらっしゃいました。ぜひ、今回のこの一連の質問が、また今後の県立高等学校の再編統合へいい効果を生み出すことを期待しております。 続きまして、先日、千葉県教育委員会を訪れ、障がいによる学習上、または生活上の困難の改善を目的とする自立活動を高等学校でも実施する、いわゆる高等学校における通級による指導体制について調査してきました。 この高等学校における通級指導の背景にあるものは、障害者権利条約で提唱された「インクルーシブ教育」の理念があります。 そこでまず、このインクルーシブ教育の目指すものは何であるのか、教育長に伺います。 ◎教育長(四本 孝君) 君) インクルーシブ教育システムとは、障がい者が精神的及び身体的な能力等を発達させ、社会に効果的に参加することを目的として、障がいのある者と障がいのない者がともに学ぶ仕組みのことであります。 現在、本県におきましては、インクルーシブ教育システムの構築のために、通常の学級、通級指導教室特別支援学級特別支援学校といった障がいのある子供にとっての「多様な学びの場」の設置や、障がいのある子供とない子供がともに学ぶ「交流及び共同学習」など、共生社会の形成に向けた特別支援教育の推進を図っているところであります。 ◆(図師博規議員) 今、御答弁にありました、障がいがあっても、またはその疑いがある生徒でもインクルーシブする、つまり包み込む教育というのが、この通級教育の指導内容であります。 では、この通級指導が行われることにより、生徒本人の自己理解と他者理解が深まり、つまずきを克服することにより自己肯定感が向上されていくということが十分に期待できるのです。 しかし、この指導がおくれると、障がいが理由となるいじめや不登校の増加にもつながる可能性があるため、速やかな体制整備が求められます。 既に本県でも小・中学校では、通級によるものと特別支援学級での指導が行われていますが、その対象生徒数の推移と内容について教育長に伺います。
    ◎教育長(四本 孝君) 君) 平成30年5月1日現在、本県の小中学校におきまして、通級による指導を受けている児童生徒数は1,107名であり、5年前と比較しますと295名ふえており、約1.4倍の増加となっております。 その障がい別の内訳は、言語障がい375名、情緒障がい218名、難聴18名、学習障がい及び注意欠陥多動性障がい496名であります。 次に、特別支援学級児童生徒数は2,443名であり、5年前と比較しますと688名ふえており、約1.4倍の増加となっております。 その障がい別の内訳は、知的障がい838名、自閉症・情緒障がい1,601名、弱視4名であります。 ◆(図師博規議員) 御答弁にありましたとおり、5年前と比較するだけでも1.4倍の対象児がふえておるということが示されました。 では、その生徒が中学校を卒業した後、全て特別支援学校高等部に進学しているわけではなく、その多くは県立及び私立の高等学校に進学をしています。 ゆえに、高等学校での通級による指導体制の整備を急ぐ必要があります。 本県も今年度から、高校での通級指導に取り組まれているようですが、その内容について教育長に伺います。 ◎教育長(四本 孝君) 君) 高等学校における通級による指導につきましては、本年4月より制度化され、本県では県下全域に8つの拠点校を配置し、取り組みを開始したところであります。 それぞれの拠点校におきましては、生徒や保護者、教職員への説明を行い、生徒の実態把握や指導計画の作成を進めているところであります。 また、各校の実情に応じて、希望する生徒に対して指導を開始したところであります。 ◆(図師博規議員) それでは再度、この通級指導を定着させるためにはどのような課題があるのか、またその課題を克服するためにはどういう取り組みをされているのか、教育長に伺います。 ◎教育長(四本 孝君) 君) 本県の高等学校における通級による指導につきましては、拠点校の実践を通したモデルづくりとその啓発が課題であると考えております。 このため、拠点校の担当者会を実施し、各拠点校や県外先進校の取り組みに関する情報を共有しながら、協議や意見交換などを行っているところであります。 今後は、これらの取り組みを継続しながら、さらに保護者や生徒に対して広く周知することが必要であると考えており、ホームページ掲載内容の充実や、通級による指導のリーフレットを作成・配布し、啓発に努めてまいります。 ◆(図師博規議員) 今、答弁にありましたとおり啓発と理解が大切であります。特に保護者への理解を求めることは、我が子はその対象ではないという拒否的な保護者も少なくないということですので、この通級教育がどういう効果を示すんですよというものの丁寧な対応が必要かと思われます。 言うまでもなく通級による指導は、体制整備をするだけで完結するものではなく、そのカリキュラム、その授業内容が重要であることは言うまでもありません。 千葉県では、「心理学」を選択教科として設け、社会生活上の困難さを抱える生徒も、抱えていない生徒も選択できるようにして、自己理解と他者理解を深められるようにグループワークやロールプレイングを導入しています。 また、生徒や保護者、教職員の理解啓発のために、メンタルトレーニングや能動的学習型授業、いわゆるアクティブラーニングなどに関する講演会を定期的に開催することにより、意識の醸成が図られていました。 では、本県が高等学校で通級指導を実施するに当たり、どのような授業内容となるのでしょうか、教育長、お願いします。 ◎教育長(四本 孝君) 君) 本県におきましては、障がいのある生徒の自立と社会参加に向けた主体的な取り組みを支援するということを基本方針として、通級による指導に取り組んでおります。 その指導内容や時間等につきましては、拠点校の担当者会において県教育委員会が例示し、それを踏まえて、各学校が一人一人の生徒の障がい特性等に応じた指導計画を個別に作成し、指導を行っております。 例えば、周囲とのコミュニケーションが苦手な生徒の卒業後の生活に向けた指導として、上手な依頼の仕方や断り方などについて、週に1時間、個別の学習として取り組んでおります。 ◆(図師博規議員) ぜひ、千葉県の例などを参考にされ―千葉県は進学校において通級指導を積極的に導入されているという経緯もございました。参考にされてください。次の質問に移ります。 先般、県内小・中・高校でのいじめの件数が、過去最高の1万947件となり、1,000人当たりの発生率では全国で2番目に高いと、不名誉な結果が示されました。 また、それに伴い不登校の数も増加傾向で、その状況に対応するため、スクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラーが配置されていますが、抜本的な改善には至っていないということになります。 次に、視点を変えまして、教職員への暴力についてであります。 教職員の方々は現在、体罰が禁止されている。これは現在も過去もそうだったんですが、その教育現場において、生徒が横柄になり、生徒との信頼関係が構築できない、または情緒不安定な生徒が多くなっているがゆえに、教職員に対して暴言や暴力を振るう事象が全国的に増加しているという報道があります。 本県における生徒の暴力行為の状況及びその対応がどうなっているのか、教育長に伺います。 ◎教育長(四本 孝君) 君) 平成28年度の県内公立学校における暴力行為の発生件数は125件であり、その内訳は、児童生徒間暴力84件、対教師暴力21件、学校内における器物損壊15件であり、教師や児童生徒以外の対人暴力が5件となっております。 学校におきましては、教員が一人で抱え込むことのないように、学校全体で組織的に対応するとともに、県教育委員会といたしましても、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、スクールサポーターなどの外部専門家、警察及び児童相談所等の関係機関と連携しながら、未然防止や問題解決に取り組んでいるところであります。 ◆(図師博規議員) 今、スクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラーについて御説明もありましたが、いじめや不登校の予防的活動や保護者や教職員の支援・相談に、その2つの専門職は重きが置かれております。 生徒の非行防止や校内暴力事件への対応、そして補導を行う専門職に、今もありましたスクールサポーターという専門職があります。 では、このスクールサポーターはどのような活動をし、どのような成果を上げているのか、警察本部長にお伺いいたします。 ◎警察本部長(郷治知道君) 現在、県下にスクールサポーター9名を配置しまして、主に小中学校と連携して生徒の非行防止と健全育成を目的とした活動を推進しております。 平成29年度の主な活動状況は、学校訪問が4,094件、情報交換が3,815件、相談や助言が843件、非行防止教室の支援などが279件であります。 なお、警察が受理した生徒の教師に対する暴力事案につきましては、平成25年が7件、平成26年が8件でありましたが、平成29年は3件にまで減少しております。 今後とも、学校、教育委員会等と連携して生徒の非行防止と健全育成を図ってまいります。 ◆(図師博規議員) 生徒からの暴言・暴力の数のうち、私が現場の先生方と意見交換する中で出てきた言葉は、「氷山の一角です」と。この生徒からの暴言・暴力はなぜ氷山の一角になってしまうのか。それは、その暴言や暴力を振るわれた先生方の評価、もしくはその事象が起こってしまった学校の評価に直結するがゆえに、現場ではそれを水面下に抑え込もうという傾向もあると聞きます。 教員が黙っていることが、生徒の健全な成長にはつながりません。より積極的なスクールサポーターとの連携を期待いたします。 それでは続きまして、児童福祉に関する質問に移ります。 平成23年に国は児童養護の環境について、従来の施設型の養護とグループホームなどの小規模養護、そして里親などに預ける家庭養護をそれぞれ3分の1ずつにする家庭的養護推進を示し、都道府県はその内容に沿って家庭的養護推進計画の策定を迫られ、本県も平成27年から平成41年にかけて15年間で、この目標を達成するための計画を策定されました。今まさに、地域の実情に即しながら施設の小規模化、地域分散化、そして里親への委託を進められています。 そこでまず、3年目となる本県の家庭的養護推進計画の進捗状況について、福祉保健部長に伺います。 ◎福祉保健部長(川野美奈子君) 平成27年度に策定しました宮崎県家庭的養護推進計画は、地域における児童の家庭的養護を推進するため、里親等への委託を進めることや、施設の小規模化、地域分散化を進めるという方針と、そのための方策を示したものであります。 このうち、施設の小規模化や地域分散化につきましては、これまで児童養護施設のなかった西諸県地域に新たに施設が設置されたほか、児湯地域で施設の小規模化のための整備が行われたところであります。 一方、里親等への委託につきましては、2029年度末までに35%を目標としているところでございますが、昨年度末時点で13.8%という状況でございます。 ◆(図師博規議員) 順調に推移しているとも受け取れる御答弁ではありましたが、まだ計画前半であるので、相対的な評価をするには早い段階でありましょう。しかし、里親委託率はなかなか伸びていないという現状が示されました。 全国平均が平成28年度末で18.3%ですので、約5%ほどの開きがあります。下回っているということを理解され、さらなる強化が必要かと思われます。 それでは、県が全国の里親率を下回っているということ、里親委託率をさらに向上させるため、また里親になられた方々のその後をサポートするため、それらの取り組みをどのように今展開されているのか、福祉保健部長にお伺いいたします。 ◎福祉保健部長(川野美奈子君) 県では、里親に関する普及啓発等に係る業務を包括的に行う体制を構築するため、平成28年度からNPO法人に委託して、「里親普及促進センターみやざき」を開設したところです。 同センターでは、里親制度に関する説明会や相談事業を行い、里親登録者数の拡大を図るとともに、県内3カ所に里親委託等推進員を配置しまして、里親家庭を定期的に訪問し、情報提供や相談支援を行っております。 また、乳児院を運営する社会福祉法人に委託して、里親等に対する乳幼児の養育トレーニングを実施することなどにより、里親委託の推進を図っているところでございます。 ◆(図師博規議員) 努力されている経緯は非常によく理解ができました。 ところが、ここに来て、国は平成28年の児童福祉法改正に当たり、現在、児童養護施設に預けられている子供のうち、3歳未満につきましては5年以内に、それ以外の未就学児の子供につきましては、7年以内に里親委託率を何と75%にすること、そして、小学生以上の子供も、10年以内に里親委託率を50%にすることが明示された「新しい社会的養育ビジョン」が示されました。 国は、現在取り組んでいる家庭的養護推進計画を吹っ飛ばし、新たなビジョンに即した社会的養育推進計画の策定を求めてきています。 この新ビジョンに関しては、現場の児童福祉関係者から、余りにも現実とかけ離れた数字であること、余りにも今までの児童福祉の取り組みが否定されていること等あり、驚きを超えた怒りの声が今、上がっています。 県は、この新ビジョンが求める社会的養護の推進にどう対応されていくのか、再度、福祉保健部長にお伺いします。 ◎福祉保健部長(川野美奈子君) 都道府県社会的養育推進計画でございますが、ことし7月に国から示された策定要領におきまして、現行計画を全面的に見直し、2019年度末までに策定することが求められているところでございます。 県といたしましては、新たな計画の策定に向けて、現在、児童養護施設等の関係団体との意見交換を行うとともに、家庭での養育が困難となり、支援が必要となる子供の数の見込みや、そのうち里親等委託が必要な子供の割合等の推計作業などを進めているところでございます。 ◆(図師博規議員) やはり前向きに捉えられているという感じがいたしますが、そもそも、この国の示した新しい社会的養育ビジョンが示された背景には何があったのか、今までは15年かけて里親委託率も3分の1、33%程度に引き上げていきなさいということを求めたいたにもかかわらず、それをその成果、その計画の進捗を待たず新たなこのビジョンを示してきました。私には押しつけてきたように思われますが、実際、この新ビジョンが示される背景にはどのようなものがあったと福祉保健部長はお考えでしょうか。 ◎福祉保健部長(川野美奈子君) 日本では、平成6年に「子どもの権利条約」を批准しておりまして、その実現のための取り組みを推進していく責務がございます。 このような中、平成21年の国連総会において、3歳未満の児童の代替養育は家庭的環境を基本とする指針が採択されまして、翌22年には、国連から日本に対し、条約や指針を実現するための具体的な対応が求められました。 これらを受け平成23年に、国の審議会において、欧米主要国の高い里親委託率を踏まえ、日本でも3割以上へ引き上げるべきとする考えが示され、これが現在の家庭的養護推進計画につながっております。 その後、さらに、条約の理念である「子どもの権利」について法律に規定すべきという議論が高まったことなどにより、平成28年に家庭養育優先の原則等を盛り込んだ児童福祉法の改正が行われたところであります。 新しい社会的養育ビジョンは、その改正法の理念を具体化するため、平成29年に取りまとめられたものでございます。 ◆(図師博規議員) 答弁にもありましたが、今回の急展開は、国際条約でもある児童の権利条約に批准していることが関係していると考えられる、そう考えるのが自然だと思います。 それでは、今答弁にもありました諸外国では、この里親委託率はどのような数字になっているのでしょうか、福祉保健部長、お願いします。 ◎福祉保健部長(川野美奈子君) 厚生労働省の示した2010年前後の主な国・地域における里親委託率の資料によりますと、その時点で日本が12%であるのに対しまして、ヨーロッパではイギリスが71.7%、北米ではアメリカが77%、東アジアでは香港が79.8%という状況にございます。 ◆(図師博規議員) 大変わかりやすいですね。 欧米の数字に重ねますと、新ビジョンが出しております75%という数字も見えてくるところであります。欧米に追いつけ追い越せで新ビジョンが示されたと言っても過言ではないでしょう。 私は先月、アメリカのマサチューセッツ州ボストンでカウンセリングサービスディレクターをされているティア・キンバーク氏の講演を聞き、意見交換をしてまいりました。講演の内容は、アメリカの里親制度とその実態の解説でした。私は、日本が新ビジョンを目指す上で貴重な情報収集ができると、食い入るように話を聞きました。 すると、その内容は衝撃的で、昨年、ボストンの里親ケアシステムで預けられていた子供のうち35人が死亡しており、アメリカ全土では、昨年だけでも336人もの子供が亡くなっている。原因は、里親が関係する暴力や事故、さらには食事を与えないなどのネグレクトであるということでした。さらに、児童福祉従事者いわゆるソーシャルワーカーが、ストレスと子供の安全性が確保できないなどの理由で、1年間に9割ほどが退職する事態となっていること。何より、児童福祉や里親、そしてそれを支える専門職に関する予算が枯渇していて、アメリカの児童福祉制度は破綻していると述べられました。そして最後に、日本がアメリカから学ぶべきものは、アメリカの児童福祉制度を見習わないということと、つけ加えられました。 今まさに、国が示している里親に関する新ビジョンは、欧米の表面的な委託率を追いかけようとしているもので、それに関する予算措置や里親を育成・支援する体制も整わないまま、現場に押しつけようとしています。そのしわ寄せで被害を被るのは、まさに子供たちです。 では、本当に国が示す新ビジョンを県は追いかけるのか、また、今の計画を抜本的に見直していくのか、再度、福祉保健部長にお伺いします。 ◎福祉保健部長(川野美奈子君) 里親等への委託に係る数値目標につきましては、国の示した策定要領におきまして、国の数値目標を念頭に、個々の子供に対する十分なアセスメントを行った上で、各県が設定することとなっております。 県といたしましては、関係者と丁寧に協議を重ねながら、県内の社会的養育の実情を十分に踏まえた、本県としての数値目標を設定してまいりたいと考えております。 ◆(図師博規議員) 現場との意見交換を最優先していただくことを期待します。以上で質問を終わります。(拍手) ○議長(蓬原正三) 次は、黒木正一議員。 ◆(黒木正一議員) 〔登壇〕(拍手) 通告に従いまして、一般質問を行います。 中山間地域対策について、まず関係人口について伺います。 国立社会保障・人口問題研究所は、平成27年と比べ、30年後までの都道府県や市区町村別の将来人口推計を発表、東京や沖縄の人口増は15年間続くが、その後減少に転じ、全ての都道府県で人口が減っていくと試算。本県の30年後の人口は82万4,806人で、平成27年と比べ25.3%減少する予測になっています。 中でも30年間の人口減少率が最も高いのが諸塚村の61.6%で、日之影町、美郷町、五ヶ瀬町、椎葉村もほぼ6割減少し、現在の4割規模になると予測されました。地方創生とはほど遠いものであります。 歴史を振り返れば、人口の約8割が中山間地域に暮らし、農業や林業や漁業に従事しながらふるさとを守ってきたという生き方は、1,000年以上も前から変わらない日本人のライフスタイルだったと言われますが、それが、わずか50年で一変した社会を私たちは今生きており、特に山間地域においては、さらに人口の減少は加速しています。 このような中、国も地方もさまざまな施策を講じているものの、仮に出生率が回復したところで人口減少を反転させることは不可能な人口構造まで移行しており、全体の人口が減る中で、地方自治体間で、定住人口という限られたパイの奪い合いを繰り広げることは、疲弊を生むだけである。 そこで、関係人口を第2住民として地方のまちづくりに参加させることで、活力を増していこうという考え方があります。参勤交代のように、関係人口が都市と地方をにぎやかに行き来するようになれば、日本は息を吹き返すのではないかというものです。 総務省の研究会の中間取りまとめにも、注目すべきキーワードとして盛り込まれたり、現場レベルでも各地で活躍する活動家や研究者が、関係人口こそが重要だと唱え始めています。 関係人口は地域活性化の鍵と有望視されていますが、知事の考え方を伺います。 以下は、質問者席より伺います。(拍手)〔降壇〕 ◎知事(河野俊嗣君) 〔登壇〕 お答えします。 人口減少、少子高齢化が急速に進んで、地方において、地域活力の維持が困難と。そういう中で、今、御指摘がありました「関係人口」、さまざまな関係、また、さまざまな思いを寄せていただく人々につきましては、いろんな形で地域活性化に寄与している事例が多く見られるところであり、大変注目をされております。 都市部に居住をしながら、さまざまなきっかけにより本県に思いを寄せ、ファンになっていただき、ふるさと納税を行ったり、例えば週末や長期休暇等に来県をして環境整備や祭りのボランティア活動を行うなど、さまざまな形で本県を応援してくださる「関係人口」に当たる方々というものは、場合によっては将来的に、移住・定住により地域の担い手となることも期待をされるわけでありまして、本県の活性化にとりまして大切な存在であると認識をしております。 県としましては、こうした関係人口を創出する、よりふやしていく取り組みを推進して、将来的な移住・定住に結びつけていく、また地域の活力に結びつけてまいりたい、そのように考えております。以上であります。〔降壇〕 ◆(黒木正一議員) 関係人口とは、住んでいなくても地域に多様にかかわる人々ということでしょうか。島根県は、「過疎」という言葉の発祥地で、都道府県で唯一、国勢調査開始時の大正9年の人口を下回っている、人口減少のトップランナーで、その危機感から、昭和50年から「新島根方式」と呼ばれる農業振興対策事業で、大分県の一村一品運動と並んで全国的に注目された集落活性化に取り組んだり、平成4年からは「定住元年」と名づけて、26年前になりますけれども、人口減少や定住の対策に本気で取り組んでいるそうですが、関係人口対策にも早くから注目し、平成24年から毎年関係人口育成講座を東京で開講、6年で83人が受講し、6割近くが島根にかかわる活動をしており、3割近くが移住したとのことであります。 関係人口を創出するためどのような取り組みが考えられるのか、総合政策部長に伺います。 ◎総合政策部長(日隈俊郎君) 関係人口を創出するためには、都市部の住民と地域がつながる機会を提供するとともに、そのつながりを継続させる取り組みが必要であります。 具体的には、都市部の若者等が、一定期間働いて収入を得ながら地域に滞在するワーキングホリデーの実施や、都市部において、地域への思いを喚起する交流イベントの開催、県外で本県の魅力をPRしていただく「みやざき応援団」などの取り組みがあります。 また、それらの方々に、定期的に本県各地域の情報を発信することや、地域への訪問を促すこと等により、きずなを保ち、深めることが重要であります。 県としましては、今後とも市町村や民間企業等と連携し、関係人口を創出するための取り組みを推進してまいりたいと考えております。 ◆(黒木正一議員) 農林業センサスでも、このような問題意識が反映され、長い歴史の上でも初めて、前回、都市住民と農業集落の交流に関する質問項目が設けられ、全国約14万農業集落における、人口集中地区からの時間距離別活動状況の割合が示されております。 その中でも、グリーンツーリズムや定住推進の項目では、人口集中地区から所要時間1時間から1時間半の集落で最も活発に都市住民との交流が行われており、1時間半以上になると極端に少なくなっています。 かつて、県内1時間構想というのがありましたが、この時間距離が都市と地方のつながりを生み、集落活性に結びついている。地方の交通アクセスの整備がいかに重要かがわかります。 また、内閣府の調査では、「農業の停滞や過疎化、高齢化などにより活力が低下した農村地帯に対して、どのようにかかわりたいですか」という質問に、「積極的にかかわりたい」という20代男性が大きく増加しています。若者の間に、新たな価値観が生まれていると考えられます。 関係人口の拡大のため、農山村側ができることは少なくないと思います。ただ、これ以上過疎化が進んだ場合、集落そのものが消滅することも考えられ、都会からの移住者などを受け入れるには、過疎化が進行しているが、まだ集落が消滅していないという過渡期に限定されます。 そこで、中山間地域等直接支払制度について伺います。この制度は、条件不利地域において農業生産の維持を図るという観点から、ヨーロッパ諸国の条件不利地域対策が先駆的事例として紹介されたり、日本型デカップリング等の議論がされる中、平成12年度から実施されてきました。 日本全体では、農用地のほぼ2割を対象とした制度で、本県においては棚田の多い西臼杵郡、東臼杵郡が対象農用地の多くを占めています。この制度は、本県においてどのように推移してきたのか、農政水産部長に伺います。 ◎農政水産部長(中田哲朗君) 中山間地域等直接支払制度につきましては、お話がありましたとおり、農業の生産条件が不利な地域における農業生産活動を継続するために支援を行う制度でございます。 本県におきましては、制度が始まった平成12年度に4,297ヘクタールで取り組みを開始し、その後、取り組み面積を拡大し、平成29年度には5,526ヘクタールとなっております。 近年は、協定参加者が高齢化し、取り組みの継続が難しくなった集落も出てきておりますが、平成27年度に、複数の集落が広域連携して活動の体制づくりを行った場合に支援が強化される仕組みなどが創設されましたので、制度の積極的な活用を推進し、中山間地域の持続的な営農の継続に努めているところでございます。 ◆(黒木正一議員) この制度は、他の補助金などと比較して、共同取り組み活動に交付金の一定割合を充当できること、基金積み立てができること、創意工夫を発揮し多くの活動ができるなどの特徴があり、条件不利地域の生産コストの補?をすることで耕作放棄地を防止し、農地を維持するという農業政策の面と、共同取り組み活動で集落活性化を図るという2つの面を持っておりますけれども、制度の成果をどう考えているかを、農政水産部長に伺います。 ◎農政水産部長(中田哲朗君) 中山間地域等直接支払制度について、平成29年度に行いましたアンケート調査によりますと、取り組みを行っている集落の約8割が、「この制度がなければ耕作放棄地が増加する」と回答しており、また、集落の約9割が、「農地等を保全管理する協働意識が高まった」と回答するなど、耕作放棄地の増加の抑制や、集落のきずなを深める効果があったと評価しているところであります。 県としましても、この制度が、中山間地域の営農を初め、集落を活性化させるために必要不可欠なものと考えておりまして、今後とも市町村と連携し、制度の有効活用にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。 ◆(黒木正一議員) この制度がなかったら、相当な耕作放棄地が発生したことが想像されますし、共同取り組み活動で、さまざまな集落活性化に取り組んでいる事例が見られ、今後の制度の発展が望まれます。 また、国会議員による「棚田支援に関するプロジェクトチーム」ができ、そこが行った棚田保全に関するアンケート調査では、高齢化、後継者不足など人材不足、収入確保が課題とされ、収入源に中山間等直接支払いに大きく依存していることがわかります。プロジェクトチームでは、棚田地域を後押しする議員立法の制定を目指しているとのことで、農地を守るだけでなく、伝統文化を守ることにもつながることであり、制度のさらなる充実に期待したいと思います。 次に、自然災害対策について伺います。 台風21号の被害状況に驚いているさなか、北海道で、これまでで最大震度の地震が起きました。被災者の皆様には、心からのお見舞い、お悔やみを申し上げます。今、日本は自然災害列島とも言える状況にあります。近年の災害の状況は、「天災は忘れたころにやってくる」から「天災は忘れないうちにやってくる」に、「異常気象」から「極端気象」に、また「これまでなかった災害」が「これまでになかった地域」で起こるなどとも言われるようになっています。このような中、避難のあり方、情報の共有など対応を考え直す必要があります。 そこで、土砂災害対策について伺います。西日本豪雨で、土砂災害による被害が際立った広島県の犠牲者のうち約7割が、土砂災害警戒区域などあらかじめ災害が想定された地域で亡くなっています。平成26年の広島土砂災害を受け、自治体などが避難体制を整備する必要がある警戒区域の指定を急いでいますが、本県の指定状況を県土整備部長に伺います。 ◎県土整備部長(瀬戸長秀美君) 県では、土砂災害の危険な箇所を周知するために、地形などの基礎調査を行った上で地元説明を行い、市町村長の同意を得られたものから、順次、土砂災害警戒区域等の指定を進めております。 平成30年8月末の進捗状況につきましては、基礎調査を予定している1万4,700カ所のうち、1万647カ所の指定を完了したところです。 このうち、土砂災害の危険性がより高い8,863カ所については、土砂災害特別警戒区域に指定をしております。 基礎調査につきましては、危険な箇所をより早く住民に周知するために、1年前倒しして、今年度中の完了を目指しているところであります。 ◆(黒木正一議員) 次に、土砂災害危険箇所についてであります。県では、土石流、地すべり、急傾斜の崩壊が発生するおそれがある箇所を定め、順次整備を進めていますが、その整備率を伺います。 ◎県土整備部長(瀬戸長秀美君) 土砂災害危険箇所は、土石流、地すべり、急傾斜地の3つの危険箇所に分類されております。 県内には、土石流危険渓流が3,239カ所、地すべり危険箇所が273カ所、急傾斜地崩壊危険箇所が8,314カ所、合計で1万1,826カ所の土砂災害危険箇所がございます。 このうち、被害想定区域内に人家が5戸以上ある箇所や、公共施設等の人の集まる箇所など、4,366カ所について、優先的に整備に取り組んでいるところであり、その整備率は、平成30年3月末で29.7%となっております。 ◆(黒木正一議員) 順次、危険箇所の整備は進んでいるものの、まだまだであることから、避難対策が重要であります。土砂災害の危険性が高いとされる警戒区域で多数の犠牲者が出たことは、区域指定が避難行為につながらなかったわけで、避難意識を高める対策が課題と言えます。 西日本豪雨の被災地で7月末、台風12号が接近し、約152万人に避難勧告などを出したものの、実際に避難したのは600人、わずか0.4%と、被災直後でも、自分のところだけは大丈夫という災害心理が働いたのかもしれません。 「人は逃げない」ということを前提に、「いかに避難を促すのか」。これまで経験したことがないような災害が迫っているとき、限られた情報の中でいかに住民を迅速に避難させるか、難しい判断を迫られることになります。 避難勧告・避難指示などの発令は市町村長に権限があり、重要なのは、防災情報や今後の予測などの情報の共有であると思いますが、市町村長への支援対策はどうなっているのか、県土整備部長に伺います。 ◎県土整備部長(瀬戸長秀美君) 県では、大雨警報が発表されている状況で、土砂災害発生の危険度がさらに高まった場合に、市町村単位で土砂災害警戒情報を宮崎地方気象台と共同で発表しております。 この情報を確実に伝達するために、該当する市町村へメールまたはファクスを送信するとともに、電話でも連絡をしております。 あわせて、地域を特定できるように、1キロ四方ごとに危険度を色分けした情報も提供しております。 さらに、昨年6月からは、市町村長に直接、情報提供する「ホットライン」の取り組みを開始しており、避難勧告等の発令が的確に判断できるよう支援しているところであります。 今後とも、住民の早期避難が図られるよう、市町村との連携を強化してまいりたいと考えております。 ◆(黒木正一議員) 人災が発生した場合、必ず問題・課題として取り上げられることが、避難指示などのタイミングの適切さであります。市町村が混乱していても、大切な情報が伝わるようなホットライン体制が重要と思います。 避難情報を発令する前提として、安全な避難所の設置があります。西日本豪雨でも避難所の被災が問題になりましたが、避難所に適した場所が少なく、リスクを抱えながらの指定に頭を悩ませる自治体も多いのではないかと思います。土砂災害危険箇所の整備率について伺いましたが、その整備には莫大な時間と費用がかかることから、特に住居が点在している山間地域では、将来の人口予測も考えると、安全な避難所を設置し、そこを拠点とした住居の移転も視野に入れた新たな公共事業も必要ではないかと思います。 8月の初めの日曜日、熊本県境にある椎葉村不土野地区に行きました。8月の初めには、県内の多くの地域で地域総出での道路清掃が行われていますが、不土野地区でもそうでした。ただ、朝早く小学校に地区の住民、年寄りから子供まで集まり避難訓練を行い、それから全員で道路清掃をしていると聞き感心しました。日ごろから訓練を行い、地域の安全は地域で協力して守るという心構えが大切と思います。 さて、市町村の職員は人員削減で、土木職も極めて少なく、いざというときの大災害対応力は脆弱なものがあると言われています。今回、大規模な災害発生時に市町村を応援する新しい取り組みを県土整備部の退職者が始めると聞きますが、その概要を県土整備部長に伺います。 ◎県土整備部長(瀬戸長秀美君) 県では、平成17年台風14号以降、大規模な災害が少なくなっている中、過去に災害復旧を経験した技術者が退職し、減少していることから、ことし4月、対応力強化のため、災害復旧エキスパート制度を創設しました。 この制度は、大規模な災害が発生した場合、市町村からの要請に基づき、災害復旧業務の経験や専門知識を有する技術者を派遣し、指導・助言を行うなど、ボランティア活動により市町村を支援するものです。 災害復旧エキスパートは、支援団体から派遣することとしており、ことし8月、県土整備部の退職者で構成される団体がその支援団体に登録されたことから、運用を開始したところであります。 県としましては、当制度の活用により、市町村職員の技術力向上が図られますとともに、迅速な災害復旧に資するものと考えております。 ◆(黒木正一議員) 8月に運用を開始したということですけれども、余り活躍してもらったら困るわけですが、市町村にとりましては、本当に安心につながるありがたい制度だと思います。 次に、災害時の外国人支援について伺います。 日本で働く外国人は約128万人と、年間で2.8倍に増加、来年4月には新在留資格の創設があり、さらに増加することになりますし、またインバウンドも大幅に増加しております。そのような中、災害時における、言葉の不自由な外国人の支援策も課題と言えます。 日本人の場合、地震国であり、子供のころから防災訓練・研修など教育を受けているものの、外国人の中には、地震などの災害がどんなものか、どんなリスクがあるのか知らない人が多いとも言われています。 東日本大震災では、仙台市や茨城県が災害多言語支援センター、熊本地震では、災害支援センターを設置するなどの対応をしています。 また国は、東京オリ・パラが開催されるに当たり、災害情報の伝達、避難誘導のあり方に関するガイドラインを策定したとも聞きます。外国人住民の防災対策や災害時の支援について本県の取り組みを、商工観光労働部長に伺います。 ◎商工観光労働部長(井手義哉君) 外国人住民は、日本語が不自由であったり、日本の生活環境になれていないことも多いため、災害時には特に配慮が必要であると考えております。 そのため、県といたしましては、日ごろから防災知識の普及・啓発を図るため、県国際交流協会を通じまして、多言語による防災パンフレットの提供を行うほか、外国人向けの防災講座を開催しております。 また、外国人災害サポートボランティア養成講座等を開催し、地域や避難所において外国人を支援する人材の育成に努めているところであります。 さらに、実際に災害が発生した場合には、市町村と連携しながら、多言語による情報提供を行うほか、一層の支援が必要な際には、速やかに、県国際交流協会内に窓口を開設し、生活相談などへの対応や、通訳ボランティアの派遣等を行うこととしております。 ◆(黒木正一議員) いろんな対応をしていることがわかりました。 次に、林業に関して伺います。 まず、災害に強い森林づくりについてであります。 森林は本来、土砂災害、流出防止の役割を持っていますが、近年、台風・大雨などによる森林災害が多発しております。このため、森林面積の約6割を占める人工林を中心として、本来の機能を十分に発揮できるよう森林の健全性を高める対策が必要でありますし、そのためには間伐など人の手を加えなければ、健全で多様な機能を持つ森林は造成できません。 しかし、収穫期を迎えた本県においては皆伐が進んでおり、適正な規模の施業による災害防止が欠かせません。 森林からの土砂流出量は、裸地の場合と森林を比較すると、森林の場合が150分の1とも言われており、さらに、大面積皆伐は土壌の保水力の低下などで災害などに結びつく可能性があることから、しっかりしたガイドラインづくり、指導体制を求める声を聞きます。 自然災害を防止する伐採指導と再造林に向けた県の取り組みについて、環境森林部長に伺います。 ◎環境森林部長(甲斐正文君) 自然災害を防止するためには、林地の保全に配慮した伐採を行うとともに、伐採後は、速やかな再造林を実施することが重要であると考えております。 このため県では、市町村や森林組合等と定期的に伐採現場のパトロールを行い、現場からの土砂や枝葉などの流出防止等を直接指導するとともに、今年度からは、適正な伐採の普及を目的に、県内の伐採事業者が自主的に行う研修を支援しているところであります。 一方、再造林につきましては、伐採後、直ちに造林する「一貫作業システム」の事業化に取り組むとともに、「山会議」におきましても、再造林を最重要課題として取り上げ、関係者一丸となって対策を協議、検討しているところであります。 県としましては、これらの取り組みを通じて、自然災害を防止する伐採及び再造林の推進に努めてまいりたいと考えております。 ◆(黒木正一議員) この前、霞が関フォーラムに参加をいたしましたら、木材利用技術センターで所長をされておりました有馬先生とお会いしまして、「宮崎県の林業はどうなっていますか」と聞かれたものですから、「新しい需要ができて、非常に山が動き出しました。ただ、大面積の皆伐が進んだり、その後の再造林、一体、人材が確保できるのか、そういうのが心配です」というような話をしましたら、有馬先生は、「おやじ元気で留守がいい事業はどうでしょう」という話をされまして、「どういうことですか」と言いましたら、「都市部の人が退職されて、家でうろうろされたら奥さんが困るんだ。ですから、そういう人たちを対象にして、できる仕事を自由な時間でやる仕組みをつくる。苗づくりとかできますよ。ほかにもいろんな仕事ができますし、恐らく行く人おりますよ」という話をされておりました。考えてみますと、空き家対策とか、いろんな健康長寿の対策とか、山村と都市との交流とか、いろんなものに結びつくのかなというような気もしたんですけれども。「おやじ元気で留守がいい事業」、宮崎県で最初に取り組んだらどうでしょう。これは有馬先生のアイデアでありました。 災害に強い山づくりといいますと、それに期待されるのは、広葉樹中心で山づくりが行われます「企業の森」活動、これに期待されることが大きいわけでありますけれども。この「企業の森」活動は、地球環境問題が叫ばれ、企業の果たすべき責任が言われるようになり、また、人工林の手入れ不足や里山の荒廃、林業就業者の減少・高齢化が進行する中で、地方自治体からも参加を期待する動きが出始める中、受け入れ体制整備が急速に進められてきております。 企業の森づくり活動の実施箇所は、全国で1,500件を超え、ここ10年でほぼ3倍になっているとのことで、森林組合の事業量の確保、また都会の企業との交流も期待されているところであります。本県においては、平成18年に「企業の森づくり制度」を創設していますが、制度の取り組み状況について、環境森林部長に伺います。 ◎環境森林部長(甲斐正文君) 県では平成18年度から、県の森林環境税を活用して、県民の理解と参画による森林(もり)づくりを推進しております。 その中で、社会貢献活動として、森林(もり)づくりに取り組む企業に対し、森林(もり)づくりの情報やノウハウの提供、また、森林所有者とのマッチングなどを通じて、企業の森づくり活動をサポートしてきたところであります。 この結果、企業の森づくりのことし8月末までの実績は、34の企業との間で50件の協定を締結し、協定締結済み面積は約360ヘクタールとなっております。 協定を締結していただいた企業におかれては、植栽や下刈り、間伐などを実施することにより、本県の森林環境の保全に協力いただいております。 ◆(黒木正一議員) この取り組みが企業と地方とのつながりになればいいなと思います。 次に、鳥獣害対策について伺います。 8月の末に、千葉県南房総市に行きました。驚いたのは、東京都心から70?80分の時間距離でありながら廃校になった小学校が、道の駅になってにぎわっていたり、サイクルツーリズムの拠点施設に活用されているところもあり、周りに住宅が多い地域で学校を存続できない少子化の現実に、複雑な思いでありました。 また、南房総市だけで年間6,000頭のイノシシを捕獲しており、廃校を利用したジビエレストランの計画があることにも驚きました。イノシシも都市近郊に向かっています。 さて、本県では、鳥獣害対策をより円滑にするとして、技術指導や人材育成の面で的確に支援し、被害防止に迅速に対応する部門として、平成24年4月、鳥獣被害の深刻な中山間地域に位置する林業技術センター内に鳥獣被害対策支援センターを設置しましたが、今年度から総合農業試験場へ移管しています。その理由について、農政水産部長に伺います。 ◎農政水産部長(中田哲朗君) 鳥獣被害対策支援センターは、中山間地域の鳥獣被害に対応するため、平成24年度に美郷町の林業技術センターに設置し、鳥獣被害対策の支援を行ってきたところであります。 その結果、農林作物の鳥獣被害は年々減少している状況にありますが、依然として大きく、近年では、中山間地域だけでなく、平野部におきましても被害が広がっている状況にございます。また、農産物の被害の割合が大きい状況となっております。 このため今年度から、鳥獣被害対策の窓口を農政水産部に一元化するとともに、県内各地での現地活動や研修会を効率的に実施するため、また被害額が大きい農産物に精通した試験場の研究員の知見を対策に生かすために、林業技術センターから総合農業試験場に移管したところであります。 今後とも、効率的な現地活動や研修の充実を図り、効果的な鳥獣被害対策に取り組んでまいりたいと考えております。 ◆(黒木正一議員) 鳥獣被害対策支援センターの看板を掲げたのは、牧元元副知事ではなかったかと思いますが、牧元元副知事が林野庁長官に就任されました。大変うれしいことでございまして、今後の御活躍を期待申し上げたいと思います。来年は林業大学校が開講になりますけれども、林野庁長官が宮崎の林業大学校を見たいと言って来たときに、私の掲げた看板がないじゃないかと思うかもしれないなという気もするわけであります。同じ美郷町で行われました知事とのふれあいフォーラムですか、あのときに若い林業者の人から、今のままの対策では及ばない、新たな対策を考えてほしいというような強い要望がありましたけれども、場所は変わったとしても、これからしっかりとした対策をとっていただきたいと思います。 次に、地域林政アドバイザーについて伺います。 これまでの森林法の改正などにより、市町村の役割は大きくなってきています。さらに、来年4月には森林経営管理法が施行され、「経営管理権集積計画」の作成など、新たな森林管理システムがスタートし、市町村の役割がますます大きく重要となってまいります。 しかしながら、市町村の林務の専門職員は全国で約3,000人で、3分の2の市町村は、こうした職員がゼロか1人とマンパワー、知識双方とも不足している状況にあり、市町村に期待される役割を十分に果たせる体制とはなっていないと言われています。 このような中、市町村の森林・林業行政を支援する「地域林政アドバイザー」制度を創設することとなっており、国はその育成に向けて、民間の林業技術者などを対象に、専門的知識の習得を支援する事業にも取り組む予定と聞いております。 市町村が地域林政アドバイザーを確保する上で、県はどのような支援を行うのか、環境森林部長にお伺いします。 ◎環境森林部長(甲斐正文君) 来年度からスタートする新たな森林管理システムを、市町村が円滑に推進するためには、国の地域林政アドバイザー制度を活用することも大変有効な手段と考えております。 地域林政アドバイザーになれる者は、森林総合管理士や林業普及指導員、森林施業プランナーなどの資格を有する者のほか、地域の森林・林業事情に精通し、林野庁が実施する研修を受講した専門的知識を有する者となっております。 県としましては、市町村がアドバイザーを確保しやすくなるよう、国や県、森林組合のOBなどの有資格者の名簿を作成し、希望する市町村へ紹介、あっせんするなどの支援を行ってまいりたいと考えております。 ◆(黒木正一議員) 次に、森林環境譲与税の使途について伺います。 本県は、全国に先駆けて本格的な主伐時期を迎えており、再造林を確実に実施していくことが喫緊の課題であります。このような中、再造林の推進については、下刈りなど森林整備を行う担い手の確保・育成や低コスト造林など、取り組むべき多くの課題があります。 一方で、森林環境税、森林環境譲与税が創設され、市町村が実施主体となる新たな森林管理システムによる森林整備が推進されることになります。 来年度予算の概算要求では、森林整備事業予算では新税を財源とするすみ分けを明確にするため、再造林支援策を強化するという話もあり、また、税の3割は人口に応じて配分されることから、森林はないが人口は多い大都市にも相当額が配分されることもあり、その使途が注目されているところであります。 林業団体からは、市町村が円滑に事業を執行できるように、その使途に関する詳細かつ的確な情報を求める要望がありますが、県の検討状況について環境森林部長に伺います。 ◎環境森林部長(甲斐正文君) 国の森林環境譲与税につきましては、来年度から始まる新たな森林管理システムの円滑な実施などのため、市町村及び都道府県に譲与されることとなっており、来年1月の通常国会において関連法案が審議される予定であります。 そのため、現時点では、国から使途についてのガイドラインが示されておりませんが、平成30年度税制改正大綱で示された使途の範囲をもとに、制度の実施に当たり充当できる事業の検討を行っているところであります。 このようなことから、市町村においては、森林所有者みずからが経営管理できない森林について、その整備等の前提となる林地台帳の整備や、森林所有者への移行調査等に、また、県は、市町村職員の研修や地域林政アドバイザーのあっせんなど、市町村の実行体制確保のための支援等にそれぞれ活用することを想定しているところであります。 ◆(黒木正一議員) 新たな森林管理システムを円滑に進めるために使われるということのようであります。細かな使途は示されていないようですけれども、新システム、新税の導入で、林業政策の転換期であり、現場の混乱も予想されます。加えて本県は、27年連続杉素材生産日本一と、林業のトップランナーであり、それはまた、課題先進県でもあります。 関係団体からは、新税を本県の喫緊の課題である再造林への有効活用を求める要望が複数来ています。再造林対策への新税の対応は難しい方向のようでありますが、現場の声にもしっかりと耳を傾け、それを国に届け、新税を活用した全国に誇れる宮崎モデルをつくり上げなければならないと思います。 知事は、国の森林環境譲与税の活用も含め、林業先進県として、今後どのように取り組みを考えているのかを伺います。 ◎知事(河野俊嗣君) 御指摘のように、杉の素材生産量が全国トップの本県は、全国を代表する森林業のトップランナーであると、自負しておるところでありますが、そのような本県におきましても、森林の所有地が分散化し、また、伐採現場がより条件の厳しい奥地に移行している、また誤伐・盗伐の問題、所有者不明森林の増加等の課題に直面している状況にあります。今回の新たな森林管理システムは、持続的な森林経営を推進する上で有効な制度であると考えております。 そのため、森林環境譲与税を、市町村と適切な役割分担を図りながら積極的に活用しまして、全国に先駆けて、いち早く、このシステムを軌道に乗せてまいりたいと考えております。 一方、本県では、森林環境譲与税の使途となっていない伐採後の再造林の着実な実施など、重要な課題も抱えているところであります。 私としましては、既存事業の拡充を初め、県民の皆様の理解を得ながら、県の森林環境税も効果的に活用して、再造林対策の強化や林業生産の効率化・省力化、また、若手人材の育成・確保等に積極的に取り組みまして、全国のモデルとなる林業の成長産業化と資源循環型林業の確立を図ってまいりたいと考えております。 ◆(黒木正一議員) 新しいシステムが始まりますので、県内どの地域も同じ情報が共有できるようにして、うまくスタートできるように、いろんな御指導をいただきたいと思います。 次に、観光行政について伺います。 先日、県の総合計画審議会の重点施策「新しいゆたかさ展開プログラム」について、平成29年度の取り組みの評価の答申結果が公表されました。8分野のうち、「観光再生おもてなし」がC評価となり、また内部評価では、「人材育成プログラム」の子供たちの「生きる力」の向上などによる将来世代の育成促進もC評価で、特に郷土への誇りや愛着を育む「ふるさと学習」のさらなる充実を図るなど、将来世代の育成に向けさらに取り組む必要性が指摘されています。 そこで、観光教育について伺います。 訪日外国人観光客の増加に伴う観光産業の活性化は、日本の大きな課題となっていることから、観光庁は、子供たちが地元の観光資源への理解を深める観光教育の充実を目指し、国内外から収集した事例をもとにモデル授業案を作成し、全国の小中学校、高校から協力校を選定し、作成した授業案を活用した授業実践に取り組む予定とのことであります。 観光教育は、地域の宝探しでもあり、まさに「ふるさと学習」ではないかと考えます。観光人材の育成につながることが期待されますが、観光教育の取り組みについて教育長に伺います。 ◎教育長(四本 孝君) 君) 観光庁が進めます、地域の魅力的な資源等を理解し、関心を持ち、その魅力を内外に発信するという、いわゆる「観光教育」につきまして、本県におきましては、主に「ふるさと学習」として実施をされております。 例えば中学校では、総合的な学習の時間で学んだ地域の魅力を修学旅行先でアピールしたり、市町村の子供議会等で、地域の魅力を高めるため、観光地への集客方法についても提言したりするなど、地域の特性を生かした取り組みが進められているところでございます。 県教育委員会といたしましては、今後、観光庁が示した「観光教育」の先進事例等も参考にするなど、地域の魅力を理解し、発信するといった活動の一層の普及・啓発に努めてまいりたいと考えております。 ◆(黒木正一議員) 高校の学習指導要領改訂では、地理の教育内容の主な改定事項の一つ「職業教育の充実」に、「観光ビジネス」が盛り込まれたとのことでありますが、鹿児島県旅行業協会では、さまざまなマーケット需要に対してより一層の知恵、企画力など新たな商品造成力が求められている中、高校生以上の学生を対象とした、若者ならではの自由な発想でユニークな着地型旅行プランを募集する事業を継続して実施しています。教育機関、参加学生が連携することにより、地域の観光素材を見詰め直して利活用する機会をふやすよいきっかけとなり、観光業の体験や即戦力の基礎づくり、人材育成にもつながっているとのことであります。 さて、本県では、魅力的な観光地づくりを牽引する人材を育成するため、「観光みやざき創生塾」を設置していますが、その概要について商工観光労働部長に伺います。 ◎商工観光労働部長(井手義哉君) 県では、観光業や観光地づくりに携わる意欲的な方々を対象に、マーケティングやマネジメント手法を実践的に学ぶ観光みやざき創生塾を平成28年度から開設しているところでありまして、今年度は38名の方が受講されております。 これまで、既に91名の方が修了し、それぞれの企業や地域で活躍されておりますが、講師陣の継続的な指導やOB交流会の実施などを通じまして、地域資源を生かしたサイクルツーリズムの立ち上げや、塾生OB同士による、それぞれの地域の食材を生かした新商品開発が始まるなど、成果も見え始めたところでございます。 今後とも、講座内容の充実に努めますとともに、市町村や民間事業者等と連携しながら、塾生のフォローアップやネットワークの強化を通じまして、本県観光をリードする新たな担い手の育成に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。 ◆(黒木正一議員) 塾生の今後の活躍に期待したいと思います。 次に、ひむか神話街道について伺います。 ひむか神話街道は、松下政経塾生で宮崎県出身の田丸拓也氏が、平成2年、「宮崎神話街道」構想を提言、高千穂町の天岩戸神社から高原町の皇子原公園に至るおよそ300キロメートルの広域観光ルートで、沿線には、天孫降臨や日本書紀・古事記にまつわる神話や平家落人伝説の舞台となる場所があり、平成15年6月に全線開通、大規模施設に依存することのない観光開発であり、物語のある周遊型観光道路であるといった説明がされています。 沿道には伝説の説明やルート、祭りなどの案内板が設置されていますが、舗装が剥がれている箇所などもあり、観光客に尋ねられても、よい道だと勧められないという話を聞きます。また、幅員が狭いところなどもあり、毎年、改良整備の要望もあります。 この神話街道、観光資源としてどのような位置づけがされているのか、商工観光労働部長に伺います。 ◎商工観光労働部長(井手義哉君) ひむか神話街道は、神話・伝説をテーマにした広域周遊ルートとして、県内9つの市町村の国県道や林道などをつなぐことで沿線の交流人口の増加につなげようと、平成14年に設定したものでありまして、県ではこれまで、道路標識や看板、モニュメント等を設置するなどして、「神話のふるさと宮崎」のイメージアップや情報発信に活用してきたところであります。 県内各地に数多く残る神話や伝説は地域の大切な宝でありまして、本県観光の大きな強みでもあります。今後とも、その魅力の効果的な情報発信等に努め、さらなる観光誘客につなげてまいりたいと考えております。 ◆(黒木正一議員) 数年前ですけど、高千穂で行事があったときに、横田議員も一緒だったんですけれども、きょうは時間があるから神話街道を通って帰りたいということで、ホテルで、「どこで乗ったらいいでしょうか」と聞いておりました。そうしましたら、ホテルの人から、「きょうは雨が降っているから通らないほうがいいですよ」と言われて、「そんな悪い道なの」と聞かれたことがあります。私も通るのは一部だけでありますけれども、確かに舗装が剥がれておったりして、自治体にどうするのかと話を聞いても、いろいろ負担になっているという面もあるようであります。今ちょうど、その記紀編さん記念事業を展開中でありますから、それが終わるまでには、改良整備というのは難しいかもしれませんけれども、せめて補修ぐらいはしてもいいのではないかと思います。 最後になりますが、観光地のトイレの整備について伺います。 大分県は観光地の魅力向上を図るために、「ピカピカトイレ来県おもてなし」と称して観光・公共施設の公共トイレの整備を行い、洋式化、老朽化した便器の交換や内装の修繕、バリアフリーで手すりの設置改修、男女別への変更、多目的トイレを加えるなど、改築や新築する市町村に費用の2分の1を助成し、本年度は50カ所を整備し、秋に行われる国民文化祭、障害者芸術文化祭までにその多くを終えるとのことで、「トイレは大きなおもてなしの一つで、きれいなトイレで迎えたい」と取り組んでいるようであります。 本県でも、観光交流の飛躍的な拡大が期待される国文祭や国体などを控えており、この時期を逃さず、世界から選ばれる観光県を実現することを目指して、「未来創造基金」を設置しております。主な取り組みとして、美しい宮崎づくりの推進や宿泊施設などのバリアフリー化などにも取り組むことになっております。観光地のトイレの整備の考え方について、商工観光労働部長に伺います。 ◎商工観光労働部長(井手義哉君) 観光地におけるトイレの環境は、旅行者の旅先での印象を左右する重要な要素の一つであると認識しております。 そのため、県におきましては、市町村などが行う魅力ある観光地づくりに対する支援の中で、トイレの改修等についても対象としているところであり、また、国においても、市町村や民間事業者が行う観光地のトイレの洋式化等を支援する制度を設けております。 県といたしましては、引き続き、市町村等に対し、国や県の支援制度の活用も促しながら、本県を訪れた皆様に「また来たい」と思っていただけるような観光地づくりに努めてまいりたいと考えております。 ◆(黒木正一議員) これは必ずしも比較対象にはならないと思うのですけれども、本県の公立小・中学校の洋式便器の割合は31.4%であり、全国平均の43.3%を下回っており、全国で下から4番目であります。観光施設、公共施設がこの割合で、全国よりもかなり低いというわけではないとは思いますが、宮崎の場合、学校の耐震化を先に進めたということもあるのかもしれませんが、やはりまた来たいと思うおもてなし、どうやったらできるのかということを、今後しっかり考えていく必要があるのではないかなと思います。 以上で私の質問を終わります。(拍手) ○議長(蓬原正三) 以上で午前の質問は終わります。 午後は1時再開、休憩いたします。   午前11時40分休憩────────────────────   午後1時0分開議 ○副議長(外山衛) 休憩前に引き続き会議を開きます。 次は、山下博三議員。 ◆(山下博三議員) 〔登壇〕(拍手) 通告に従い、順次お伺いしてまいります。 まず、物流対策の海上輸送力についてお伺いをしてまいります。 私は今日までの議会において、本県の産業を推進する中で、大消費地から遠隔地にある本県の最も大きな課題の一つに、トラック業界、宮崎カーフェリーの抱える課題等についてお伺いしてまいりました。 前回も述べましたが、昨今、トラック業界は、慢性的な人手不足に陥っているため、ドライバーが休める長距離フェリーのトラック利用は伸びてきております。 宮崎カーフェリーは日によっては満船となるため、乗船できなかったトラックは、労働基準の改正前であれば、そのまま陸路を長時間運転して関東、関西方面に走っていたのでありますが、改正後は労働時間の規制等により、大分県の港や鹿児島県志布志港から乗船するか、延着を前提に陸路を走っております。 ドライバーを確保するためには、給与の引き上げや待遇改善を図ることが必要であり、そのためには、荷主や荷受けなどさまざまな段階での合意形成が重要であると、今までの一般質問の中で指摘してまいりました。 その後、宅急便業界を中心に、運賃引き上げや再配達の制限などドライバーの勤務実態の改善を図る動きが出てきたことは、待遇改善に向けた第一歩であると考えております。 そのような中で、去る8月9日付日経新聞に、トラック運賃が大幅に上昇しているとの記事が載っておりました。運賃上昇の主な理由として、7月の西日本豪雨による被災地域内のトラックが水没し、さらにはJR貨物の運休によりトラック輸送に切りかえる荷主が増加したこと、連日の猛暑で飲料などの荷動きが活発になっていることが挙げられておりました。 日本貨物運送協同組合連合会によりますと、2010年4月を100とした運賃指数は、ことし7月には123となっており、7月としては過去最高の運賃となっております。 JR貨物の運休は、関西と九州を結ぶ山陽本線の一部が10月まで続くということでありまして、九州の物流環境は、前回の質問当時よりも一段と厳しくなっております。 一方、トラック輸送の環境が変化する中で、大消費地から遠隔地にある本県が、安定的に農畜産物や工業製品を輸送、販売していくためには、海上輸送力の確保が重要であることから、宮崎カーフェリーのリプレースに向けた取り組みについてもお伺いをしてまいりました。 その後、宮崎カーフェリーは、高速道路料金引き下げや、燃油高騰による収支悪化、多額の累積債務、さらには新船造船の資金調達の課題などから、ことしの3月に、現在の会社に事業譲渡が行われております。 昨年11月30日付の産経新聞によりますと、事業譲渡の際の記者発表の席上、政府系ファンドの地域経済活性化支援機構の今井社長は、「県が主体的に出資し再生を図るのは、我々としても初めてだ。ぜひ成功させたい」と意気込みを語っておられます。 また、知事も昨年、「本県の長距離フェリー航路を本県経済の生命線と考え、県内経済界等と連携して、航路の維持・発展に全力を挙げて取り組む」と答弁しておられます。 海上輸送力の強化に向けて、大変心強い言葉でありますが、先月8月10日の宮日新聞には、「宮崎カーフェリーの臨時株主総会で、宮崎県の郡司副知事を社外取締役に迎え入れることを決定した」という記事が掲載されておりました。 そこで、お伺いをしてまいります。 平成28年9月の私の一般質問で、宮崎カーフェリーのリプレースへの支援などお伺いしてから、環境が大きく前進していると思いますが、どのような経緯で新会社ができたのか、また社外取締役に副知事が就任することになった経緯について、総合政策部長にお伺いをいたします。 以下、質問者席にて行います。(拍手)〔降壇〕 ◎総合政策部長(日隈俊郎君) お答えいたします。 長距離フェリー航路は、県産品を大消費地に輸送する大変重要な航路でありますが、船舶の老朽化が進んでおり、新船の建造が最大の課題となっております。 一方で、旧会社につきましては、財務状況から、新たな投資が困難であったため、県や地元経済界等の「オール宮崎」が結束した新会社で航路を担っていくことが最善の方策であるとの結論に至り、旧会社の債務を整理の上、本年3月に新会社を設立したところであります。 新会社の経営陣は、社内の取締役に加え、財務や事業再生の観点から、金融機関や地域経済活性化支援機構が社外取締役を派遣しておりますが、さらなる経営安定化のためには、観光や物流の利用促進等の観点から助言が必要であるとの判断から、県に対し、就任の要請がございました。 県といたしましては、農産物の生産や輸送、観光等に関する地元のニーズを集約し、経営により的確に反映させる必要があるものと考えましたことから、要請に応えることとしたところであります。以上であります。 ◆(山下博三議員) 本県が運航主体の事業継承に時間を費やしている間に、鹿児島県の志布志―大阪航路には、本年5月15日に、新船である「さんふらわあ さつま」が、また、9月15日には2隻目の「さんふらわあ きりしま」が就航をいたします。いずれも25年ぶりの新造船ということであります。 総トン数も、従来の1万2,415トンから1万3,659トンと大型化したことにより、トラックの積載台数が16%増強され、関西―九州間の物流を担う大動脈としての役割を強化したということでありました。 また、「さんふらわあ」の利用に際しては、予約時に鹿児島―志布志間の連絡バスに申し込むと無料で利用できるなど、官民一体となって利用促進に向けた取り組みがなされております。 郡司副知事は、知事の「本県の長距離フェリー航路を本県経済の生命線と考える」との答弁を踏まえ、どのように航路を維持していきたいのか、決意のほどをお伺いいたします。 ◎副知事(郡司行敏君) 本県唯一の長距離フェリー航路は、大消費地から遠隔地にある本県にとりまして、農畜産物を初めとする県産品の長距離輸送を確保していく上で極めて重要な航路と言えます。 近年、トラック輸送のニーズが増加している中、特に本県の農産物の出荷がピークを迎える冬場を中心に、貨物を載せ切れていない状況がございます。このような状況を改善することや、旅客ニーズに沿った客室の整備などが必要となっており、そのためにも、老朽化した船舶のリプレースが最大の課題であると、そのように考えております。 私といたしましては、社外取締役として会社の経営に参画いたしますが、農畜産物の生産や輸送、観光等に関する地元のニーズを集約し、経営に的確に反映させることに力を注いでまいりたいと、そのように考えております。特に新船建造の検討におきましては、県産品の輸送力の向上や、関西等からの広域的な誘客促進といった、県の施策との整合を図ることも必要であると考えており、こうした点を通して、航路の維持や地域経済の発展が図られるよう、全力で取り組んでまいりたいと考えております。 ◆(山下博三議員) 決意のほど、ありがとうございます。 28年2月議会にて、宮崎カーフェリーのリプレースに向けた検討状況についてもお伺いしております。当時は、「関係機関と連携してオール宮崎で取り組んでまいりたい」との答弁でありましたが、宮崎カーフェリーも「オール宮崎」の新体制となり、新たな方向性が見えてきたものと思います。 そこで、新船の発注時期はいつごろと見込んでおられるのか、また、海上航路を生命線として位置づけ、県内経済界等と連携して航路を維持していこうということでありますが、新船建造に向けて、県はどのような支援を検討しておられるのか、知事にお伺いをいたします。 ◎知事(河野俊嗣君) 現在、本県と神戸を結んでおります長距離フェリー航路は、「本県経済の生命線」でありまして、この長期的かつ安定的な維持のためには、新船の建造が最大の課題と考えております。 この新船につきましては、就航の目標を4年後の2022年ごろとしております。建造期間を考慮しますと、来年度中を目途に発注する必要があるものと考えております。 現在、会社におきまして、エンジンや客室、トラックの積載台数など、新船のスペックについて検討作業が進められている段階であります。 その具体的な内容を踏まえつつ、県の支援につきましては、今後、具体的な投資額や将来の収支計画等を精査した上で、会社や金融機関等と協議をしてまいりたいと考えております。 ◆(山下博三議員) 4年後の2022年に新船の就航を目標との答弁をいただきました。 設計から造船までは3年ほどかかると言われております。時間のない中で、来年度には県の支援がはっきりしてくると思いますが、本県経済のさらなる推進のために、物流対策のかなめであるカーフェリー対策、よろしくお願いをいたします。 海上輸送については、6月27日付の宮日新聞に、八興運輸が平成32年1月に新たなローロー船を就航させるという記事が出ておりました。 船舶の大型化で積載量は約2倍になり、モーダルシフトや県産品の出荷増に対応し、トラック輸送と連携を図りながら、県内から大消費地への長距離輸送を支えていきたいと、三輪社長が意気込みを語っておられます。 新たなローロー船では、ベースカーゴである化学原料や木材の需要増に対応するのみならず、これまで手つかずだった農産品や小口混載貨物の輸送ニーズにも応えていくということでありまして、航路は現在と同じ細島―堺泉北港―宮崎港―細島港ということであります。 八興運輸のローロー船新船建造については、県はどのような期待をしているのか、総合政策部長にお伺いをいたします。 ◎総合政策部長(日隈俊郎君) 大消費地から遠隔地にあります本県にとりまして、大量輸送が可能な海上輸送の充実は、大変重要な課題であると考えております。 近年、ドライバー不足等を背景に、トラックから海上輸送へ切りかえる、いわゆるモーダルシフトの需要が高まっていることに加えまして、昨今の自然災害により、高速道路や鉄道が使えない状況が多発しておりまして、海上輸送の役割は、ますます重要性を増しているものと受けとめているところであります。 このような中、八興運輸によるローロー船の大型化は、本県と大消費地を結ぶ物流ネットワークを強化するものでございまして、地元企業の成長や、今後の企業誘致の下支えになるなど、広く地域経済に寄与していただけるものと期待しているところであります。 ◆(山下博三議員) 知事の2期目の公約でありました、平成30年度末の本県への新規企業立地件数でありますが、150社の目標に対して、平成29年度末で142件と、ほぼ達成が確実であると考えます。公約実現に向けた御尽力に敬意を表します。 新規企業の立地、例えば日機装や宮崎キヤノンなど、大型の企業誘致が実現されたことで、本県から関西、関東に向けて出荷される貨物の量も飛躍的に拡大していくものと思われます。 また、今後、引き続き企業誘致を進めるのであれば、当然、生産、出荷される製品の輸送手段まで考慮することが重要であります。 遠隔地にある本県として、安定した長距離輸送を確保し続けるためには、荷主や運送事業者が、海運、鉄道、トラックのそれぞれの費用や所要時間などの特性を踏まえ、適切な輸送手段を選択できるよう物流網を構築する必要があります。 このため、本県物流のネットワークの充実に向け、長期的な視点に立って、交通・物流ネットワーク戦略を改定すべきだと思いますが、知事の認識をお伺いいたします。 ◎知事(河野俊嗣君) 大消費地から遠隔地にある本県において、安定した物流ネットワークを確保していくことは、外貨を獲得し、地方創生を実現する上で、最重要課題の一つであると考えております。 このようなことから、本県におきます交通及び物流の関連施策を効果的に展開していくため、平成24年度に「宮崎県交通・物流ネットワーク戦略」を策定しまして、その後、平成27年度に改定した内容に沿って、関係部局一体となって取り組んでいるところであります。 現行の戦略は、来年度に終期を迎えますが、次の戦略を策定するに当たりましては、県内企業や運送事業者の抱える課題を踏まえるとともに、御指摘のありました、誘致企業の生産や物流の動向なども把握をした上で、航路の充実や港湾等のインフラ整備など、長期的な視点からも、本県の物流ネットワークの充実が図られるよう検討してまいりたいと考えております。 ◆(山下博三議員) 平成28年度末の本県のトラック事業者数は625社、1万1,885両もの車両が本県の物流を支えていただいております。 主力である生鮮品目の輸送について、市場の要請から到着時間を指定されるケースが多く、鮮度の問題もあり、結果として長時間の連続運転につながっている状況であります。荷主側にとって、輸送コストの削減は大きな課題であり、インフラの整備やモーダルシフト、船舶による大量輸送等の効率的な輸送体系の構築が望まれております。新たな「宮崎県交通・物流ネットワーク戦略の策定」を要望しておきます。 次に、香港との連携についてお伺いをいたします。 先日の宮日に、宮崎―香港航路の直行便が10月末で運航休止になるという記事が出ており、突然の出来事にびっくりしたところであります。 搭乗率は、直近の平成29年度が72.5%ということでありまして、これまで国内線で採算ラインと言われていた搭乗率60~70%よりも高い中での運休ということで、海外資本の厳しさに直面したということでありましょうか。 同時に香港は、昨年、過去最高の輸出額46億4,000万円を記録した本県農畜水産物の約4割を占めており、宮崎牛や養殖ブリなどの重要な輸出先であります。 そこで、農畜水産物の輸出や観光客の誘致など、香港事務所設置による成果について、商工観光労働部長にお伺いいたします。 ◎商工観光労働部長(井手義哉君) 香港事務所は、平成25年の開設以来、県内企業の輸出等の海外展開支援を初め、観光誘客や宮崎の情報発信、さらに現地でのネットワーク構築等に取り組んできたところであります。 この結果、お話にもありましたように、宮崎牛やカンショ、養殖ブリなど農畜水産物の香港向けの輸出が、平成29年度には17億7,000万円と、事務所設置前である平成24年度の約4倍にふえております。 また、観光誘客につきましても、平成29年の香港からの延べ宿泊者数は6万1,230人と、平成24年の約12倍に達するなど大きく伸びております。このように香港事務所は、本県と香港との経済交流の拡大に貢献しているものと考えております。 ◆(山下博三議員) 香港事務所の開設以降、5年経過しておりますが、農畜水産物の輸出や観光誘客は順調に推移しているようでありますが、今回の直行便の運休の影響をどのように捉え、対応されるのか、商工観光労働部長にお伺いをいたします。 ◎商工観光労働部長(井手義哉君) 香港向け農畜水産物の輸出につきましては、他県から香港への船便や航空便の利用が中心となっておりまして、直行便を利用しているスイートピーなど一部の品目についても、他の路線への振り替えが可能であると伺っております。こうしたことから、今回の運休の影響は限定的であると予想されますけれども、引き続き、輸出の拡大に向けて、香港事務所等を活用した販路開拓やネットワークの強化に努めてまいりたいと考えております。 一方、観光面では、直行便の利用者の約9割が外国人旅行者であることから、今回の運休により、本県を訪問する観光客の減少や、情報発信力の低下が懸念されるところであります。 県といたしましては、これらの影響を最小限にとどめるため、民間事業者等にも連携を促しながら、旅行会社に対するツアー商品造成の支援や、個人旅行者をターゲットとした現地イベントへの出展のほか、鹿児島など他県空港から本県に誘客するための仕組みづくりにも取り組んでまいりたいと考えております。 ◆(山下博三議員) 観光誘客の面では、影響を最小限にとどめるための対策を実施されるとのことでありますが、引き続き香港からの誘客を進めていくためには、一刻も早く直行便を復活させることが最重要課題であると考えます。 直行便の復活に向けて、県は今後どのように対応されるのか、総合政策部長にお伺いいたします。 ◎総合政策部長(日隈俊郎君) 宮崎と香港を結ぶ直行便の利用者数は、先ほどもありましたが、インバウンドを中心として年々増加してきたところでございまして、「みやざきグローバル戦略」に基づき、海外との交流拡大を進める本県にとりまして、香港線が果たす役割は非常に大きいものと認識しております。 このため、県といたしましては、同路線をできる限り早期に運航させることが重要であると考えておりまして、既に、香港に拠点を置く他の航空会社を中心に誘致活動を行っているところでありますが、引き続き、関係機関とも連携を図りながら、復活に向けて積極的に取り組んでまいりたいと考えております。 ◆(山下博三議員) 次に、産業労働力についてお伺いをしてまいります。 本年4月に東京で開催されました自民党本部主催の全国都道府県議会研修会に参加してまいりました。テーマは、「働き方改革」「生産性革命」「地方創生」の3点でありますが、一貫していたのは、人口減少時代において日本の活力をいかに維持向上させるかでありました。 いただいた資料の中で、我が国の出生率は1970年代半ばから長期的に減少を続け、2016年には100万人を割り込んでおり、合計特殊出生率も1975年以降、40年連続で人口置換水準2.07を下回っております。このままで推移すると、日本の総人口は、2050年には2010年に比べ20%、2,500万人減となると見込まれております。年齢構成を見ると、65歳以上の老齢人口は500万人増加するものの、15歳から64歳までの生産年齢人口は2,500万人減少、さらに若い若齢人口は500万人減少するということが示されております。全国規模で産業分野の働き手があと30年もするといなくなるという、恐るべき実態が懸念されておりました。 私もいろいろな経営者と話をする機会がありますが、ハローワークに求人を出しても応募が全くなく困っているとの声をよく耳にします。そこで、県内の人手不足の状況はどうなっているのか、商工観光労働部長にお伺いをいたします。 ◎商工観光労働部長(井手義哉君) 県内の有効求人倍率は年々上昇傾向にありますが、ことし7月には、集計を開始して以来の最高値であります1.54倍となったところであります。 宮崎労働局においては、雇用期間が4カ月以上の求人をもとに職業別の有効求人倍率を算定しておりますけれども、これによりますと、製造業関連が1.7倍、トラックドライバー等の輸送関連が2.55倍、福祉関連が2.18倍、農林漁業関連が1.62倍、福祉関連が2.50倍となっているなど、求人数が求職者数を大きく上回っている状況にあります。 これらの分野を中心として、予定とした採用人員を確保できず、人手不足を感じる事業者がふえているものと考えております。 ◆(山下博三議員) 県内でも人手不足が深刻な状況となる中、平成29年10月末現在の県内の外国人労働者は3,490人で、平成24年の1,634人と比べて約2.1倍と、大きくふえております。ことしはさらにふえているのではないかと思われます。 国においても、7月25日付日経新聞にありましたが、「労働力不足に対応して、留学生や技能実習生だけでは限界があるという小売業や製造業などの声を踏まえ、在留管理を強化することを前提に、外国人の単純労働を解禁する検討を進める」ということであります。 5月16日付日本農業新聞に、「県とJA宮崎中央会が連携して、外国人技能実習生を受け入れるための「第三者管理協議会方式」の検討を進めることとした」という記事が掲載されておりました。 その後、6月には国からガイドラインが示され、「農作業請負方式技能実習」という呼び名に変わったようでありますが、地元の農業法人や地域の担い手農家と意見交換する中でも、労働力不足は大きな課題となっており、県とJAグループが連携して外国人技能実習生の検討を行ってくれるのは大変心強いと聞いております。 そこで、農作業請負方式技能実習とはどのような仕組みか。また、農業者から見たメリットは何か、農政水産部長にお伺いいたします。 ◎農政水産部長(中田哲朗君) 農作業請負方式技能実習とは、JA等が技能実習生を雇用し、そのJA等と請負契約を結んだ組合員の農場において技能実習を行う仕組みであります。 この方式を実施するためには、県を事務局とする管理組織を設置する必要があり、本県では本年8月31日に、県、JA宮崎中央会、宮崎県農業会議等を構成員とする管理組織を設立したところであります。 この取り組みによりまして、農業者にとっては、収穫期などの繁忙期のみ技能実習生を受け入れられることが可能となるほか、技能実習生に係る手続や費用負担を軽減できるなどのメリットが考えられます。 一方、繁忙期が重なることによる実習生の調整が必要となるなど、解決すべき課題もありますが、今後、JAグループと連携しながら、この方式の活用を推進してまいりたいと考えております。 ◎商工観光労働部長(井手義哉君) 済みません。1点訂正をさせていただきます。 先ほどの答弁で、福祉関連の有効求人倍率を2回申し上げました。正確には福祉関連が2.18倍、そして後段で言いましたのは建設関連が2.50倍となっております。訂正をさせていただきます。失礼いたしました。 ◆(山下博三議員) 一方、国においては、農業分野での外国人就労について、新たな在留資格を創設するという動きもある中で、本県の取り組みはどのようになっているのか。また、今後のスケジュールについて、農政水産部長にお伺いいたします。 ◎農政水産部長(中田哲朗君) 本県の農林業における外国人労働者は、宮崎労働局によりますと、昨年10月時点で517名であり、そのうちの94%、487名が、農業者等が直接受け入れている技能実習生となっております。 県では、これに加えまして、先ほど御説明いたしました農作業請負方式を推進することとしておりまして、9月中にはJAグループへの周知を図り、10月以降、実施を希望するJAに対して個別に支援することといたしております。 さらに、今後、本県農業の生産力を維持していくためには、外国人材の確保は重要な課題であると考えておりますので、現在、国において検討されております新たな在留資格につきましても、条件や手続等、情報収集をしっかりと行ってまいりたいと考えております。 ◆(山下博三議員) 農業分野については、JA、農業法人等、それぞれ雇用について努力をされておりますが、他産業の分野でも人材不足については大変苦悩しておられるようです。 一方では、県内企業の人手不足を補うために、シルバー人材センターが大きな役割を果たしているという記事が、7月30日付宮日に掲載されておりました。 県内のシルバー人材センターは、よく知られている庭木の剪定や掃除といった請負、委託と異なり、会員が自動車販売会社など企業の指揮のもとで勤務する「派遣事業」に取り組んでおり、その受注件数は年々増加しているということであります。 宮崎市のセンターでは、昨年度は100件の派遣依頼を受けたものの、センター自体の会員減少や、依頼される仕事の内容と会員のミスマッチにより、3分の1に当たる33件を断ったということであります。 単純労働と技能労働を同じテーブルにのせて議論できるかどうか一概に言えませんが、全国的な人口減少、中でも生産年齢人口の大幅な落ち込み、さらには本県の産業分野でも、対策を講じつつも人材確保に苦慮されている現状であります。 そこで、深刻な産業労働力不足の状況を踏まえ、人材確保につながるような一歩踏み込んだ対策が必要ではないかと考えますが、知事の見解をお伺いいたします。 ◎知事(河野俊嗣君) 人口減少問題への対応が喫緊の課題となる中で、地域や産業を活性化しまして、地方創生の実現を図るためには、それを支える人材の育成・確保が極めて重要なものと考えております。 このため県では、産学金労官、関係者が方向性を共有して具体的な対策に取り組むため、外国人や女性、高齢者など多様な人材の活用という視点も踏まえながら、必要な取り組みを体系的に取りまとめました「産業人財育成・確保のための取組指針」を昨年末に策定したところであります。これに基づきまして、これまでの取り組みに加え、さらに、教育関係者や産業界の実務者が情報の共有や意見交換を行う体制の整備のほか、女性の県内定着対策の実施や県外人材確保のためのコーディネーターの設置など、一歩踏み込んだ対策を推進しているところであります。 また、先ほど来、御議論のありました外国人材の活用につきましては、ことしの全国知事会でも議論となりまして、新たに外国人材の受け入れプロジェクトチームを立ち上げることとなり、本県もそこに参加して提言を取りまとめ、国に対して要望活動を行ったところであります。 近年、県内ではさらに人手不足感が広がり、人材確保に対する危機感が高まってきておりますので、引き続き、産学金労官が緊密に連携をしながら、宮崎の将来を担う産業人材の育成・確保に取り組み、地域や本県産業の振興につなげてまいりたいと考えております。 ◆(山下博三議員) 次に、国文祭・芸文祭についてお伺いをいたします。 2020年東京オリンピック・パラリンピックが終了した翌月の10月から、国民文化祭、全国障害者芸術・文化祭が51日間にわたり本県で開催されます。 国民文化祭、略して「国文祭」と言うそうですが、国民一般の文化活動を全国規模で発表、競演し、交流する場を提供することで、国民の文化活動への参加機運を高めて、新しい芸術文化の創造を促すことを目的に、昭和61年から毎年、各都道府県持ち回りで開催されており、文化の国体と言われております。 一方、全国障害者芸術・文化祭「芸文祭」と略すそうですが、障がいのある方の芸術や文化への参加を通じて、生きがいや自信の創出、自立と社会参加の促進、さらには障がい者に対する国民及び県民の理解と認識を深めることを狙いとしており、平成13年から各都道府県持ち回りで、平成27年からは国文祭が開催される都道府県において、同じ年度に開催されてまいりました。 県で昨年実行委員会を設置し、これまで基本構想や大会ロゴマーク、キャラクターなどを決定したとのことでありますが、国文祭、芸文祭に対する県民の理解、特に芸文祭に対する理解が十分に進んでいるか気になっているところであります。 今日までの取り組み状況、また県民への周知、浸透状況はどうなっているのか。また、本大会への参加者をどれほど見込まれているのか、総合政策部長にお伺いいたします。 ◎総合政策部長(日隈俊郎君) 先般、国の実行委員会において、本県の基本構想の承認をいただいたところでありますが、開会式・閉会式等の総合フェスティバルや県内各地で実施します分野別フェスティバル、あるいは県主催の事業や障がい者芸術・文化事業につきましては、現在、有識者で構成されました企画会議や企画運営委員会等において、演目等の具体的な検討を進めているところであります。 県民への周知につきましては、大会専用のツイッターやフェイスブックを設け、最新情報を発信しておりますほか、5月に決定しました大会ロゴマークも、さまざまな広報媒体での活用が広がってきているところであります。 また、10月からは、県内各地のにぎわいのある場所でプレイベント等を予定しておりますので、より認知度が高められるよう、工夫を凝らしてまいりたいと考えております。 次に、本大会の参加者数についてでございますが、平成28年度に策定しました「みやざき文化振興ビジョン」で掲げております100万人を上回るよう取り組んでまいりたいと考えております。 ◆(山下博三議員) 国文祭、芸文祭には多くの参加が期待をされますが、芸文祭に際しては、多くの課題もあるような気がいたします。本大会への福祉保健部のかかわり方と主体的な取り組みについて、お伺いをいたします。 また、他県の障がいのある方との交流を促す絶好の機会でもありますが、どのように考えておられるのか、福祉保健部長にお伺いいたします。 ◎福祉保健部長(川野美奈子君) 福祉保健部におきましては、本年2月に、障がい者芸術に携わる団体や学識経験者等で編成します企画運営委員会を設置し、大会プログラムの具体的内容の検討を行うとともに、障がいのある方々が安心して来場できるように、ハード・ソフトの両面から、受け入れ体制の強化にも努めているところであります。 また、全国障害者芸術・文化祭は、障がいのある方もない方も、誰もが楽しめる大会であるとともに、地域や世代を超えた文化交流を促進することで、一層の文化の振興を図る契機にもしたいと考えております。 このため、音楽や美術などさまざまな分野で、全国の方々にも参加いただけるよう、プログラムも含めて検討してまいりたいと考えております。 ◆(山下博三議員) 多くの障がいのある方の来県が予想される中、交通手段である空港、JR駅、自家用車駐車場やホテルなどのバリアフリー化をどのように進めていくのか、福祉保健部長にお伺いいたします。 ◎福祉保健部長(川野美奈子君) 全国障害者芸術・文化祭に来場される障がいのある方々に大会を楽しんでいただくためには、交通手段や宿泊施設、会場など、さまざまな場面で障がいの特性に応じた配慮を行うことが大変重要であります。 そのため県では、宿泊施設のバリアフリー化の支援や、心のバリアフリーに関する県民の意識啓発に取り組んでいるところでありまして、今後は、会場、駅などで多様なサポートを提供できるよう、受け入れ環境の整備に努めてまいります。 また、来県に伴い、障がいのある方々が観光地や食文化も堪能できますよう、情報提供のあり方等についても検討してまいりたいと考えております。 ◆(山下博三議員) 大会に参加される障がい者の皆さんに、宮崎に来てよかったと満足して帰っていただき、また宮崎に来たいと思っていただけるような大会にするためには、ボランティアの皆さんの力が欠かせないと思いますが、福祉ボランティアをどのように確保されるのか、同じく福祉保健部長にお伺いいたします。 ◎福祉保健部長(川野美奈子君) 全国障害者芸術・文化祭を成功裏におさめるためには、手話通訳者、要約筆記者等を適切に配置するとともに、来場された障がいのある方々をサポートするためのボランティアの協力が必要不可欠でございます。 そのため県では、従来より取り組んでいます手話奉仕員などの育成に加え、今年度からは、難聴の方など障がいのある方にもボランティアとして携わっていただくための講習会を開催し、大会をサポートしていただく人材の確保に努めております。また、空港、ホテルなど接客業の方を対象に、障がいのある方を接客する際の配慮や、簡単な手話を学んでいただくための講座を開催するなど、おもてなしの向上にも取り組んでいるところでございます。 これらの取り組みを進めながら、今後とも福祉ボランティアなどの確保に努めてまいります。 ◆(山下博三議員) 私の近くに、車椅子で生活される重複障がいをお持ちの方がおられます。絵を描くことが非常に上手でありまして、私どもが想像できない発想と表現力で個展を開いておられます。多くの皆様方に感動を与えていただいております。 国文祭、芸文祭においては、皇族が出席されるそうでありますが、宮崎に誘致いただいた知事の御尽力には敬意を表します。しかし、誘致いただいた大会の成功とは、単に大会や式典が円滑に終了するだけでなく、大会に集まった県内外の参加者や同伴者に、宮崎の豊かな食や文化、県民性に触れていただき、また宮崎に来たい、宮崎に住んでよかったと思ってもらうことが真の成功だと思います。 51日間の開催期間と100万人を上回る参加者を見込んでおられますが、十分な対応をとっていただくよう要望しておきます。 次に、県道105号馬渡大川原線整備状況についてお伺いをいたします。 この道路につきましては、都城市、高千穂の峰の麓にある、最も中山間地域に当たる西岳地区の馬渡から、鹿児島県大川原地区までの路線延長約9.3キロの整備計画道路であります。 昭和50年代後半から事業に着工され、平成29年4月現在、車道幅員5.5メートルで改良済延長はわずか約4.1キロで、改良率が44%であります。 早期開通に向けて今日まで、地元からの要望も何回か出されておりますが、整備状況について県土整備部長にお伺いをいたします。
    ◎県土整備部長(瀬戸長秀美君) 県道馬渡大川原線の整備状況につきましては、平成29年4月現在における県内区間約9.3キロメートルの改良率は約44%となっており、その内訳としましては、起点の馬渡地区から県道都城霧島公園線間の約5.5キロメートルで約34%、同県道から鹿児島県境間の約3.8キロメートルで約57%となっております。 現在、県道都城霧島公園線から鹿児島県境間におきまして、特に幅員が狭小な区間、約1キロメートルを大塚工区として整備しており、昨年度までに約700メートルを供用したところであります。今年度も、引き続き改良工事を進め、早期の完成に向け取り組んでまいりたいと考えております。 また、馬渡地区から県道都城霧島公園線間におきましては、地形条件が厳しいことから、未改良区間が多く残っている状況となっております。 ◆(山下博三議員) 私も先日、地元の方々と調査に入ってみましたが、西岳地区の東西に離れた集落を結ぶ大変重要な道路と思っております。特に馬渡地区から県道都城霧島公園線においては、車同士の離合もできない箇所が何カ所もあり、夜はとても怖くて通りたくないということであります。その沿線上には大規模な畜産農家も多く、飼料運搬、出荷作業など苦労をされております。 また、この県道は、小林市と鹿児島県霧島市を結ぶ国道223号が通行どめとなったときに迂回路にもなります。平成23年1月27日に52年ぶりとなる新燃岳の爆発的噴火が発生した折に、国道223号が通行どめになった際、多くの車両は、この県道馬渡大川原線を通るか、霧島南部地区広域農道を通っておられました。 県道馬渡大川原線を早く整備することによって、新燃岳のマグマがかなりたまっている状況でいつ噴火するか危険性が高まる中で、住民の安全安心を確保するための迂回路としての役割が大いに期待されているところであります。 早期完成を望むところでありますが、馬渡地区から県道都城霧島公園線間の整備について、今後どのように取り組んでいかれるのか、県土整備部長にお伺いをいたします。 ◎県土整備部長(瀬戸長秀美君) 馬渡地区から県道都城霧島公園線間の未改良区間につきましては、幅員が狭く見通しも悪いため、改良の必要性は認識しておりますが、地形が険しく、山間部を通過するため、抜本的な道路整備を行うには多くの費用と時間が必要と考えております。 しかしながら、この路線は、地域の方々の生活を支える道路でありますとともに、国道223号が通行規制の際には、迂回路としての役割も担う重要な道路となりますことから、より安全で円滑な走行ができますよう、部分的な拡幅や待避所設置などの整備について検討を行ってまいりたいと考えております。 ◆(山下博三議員) 地元の皆様方は、早期完成の本当に熱い思いを持っておられます。土地代も無償でいいよと、そういう話をされたりですね。そして、都城の土木事務所の皆さん方と話をしたんですが、いわゆる計画がある中で、地元の皆さん方の意見の中には、旧道があるそうなんですが、その旧道を通っていくと安価な経費でできるんじゃないかということもありましたので、しっかりと検証をしてください。 次に、公務員獣医師の確保についてお伺いをいたします。 約30万頭もの家畜のとうとい命が犠牲となった口蹄疫の終息から、先月27日で丸8年が経過をいたしました。 その間、本県の畜産は、口蹄疫からの再生・復興方針の策定と、それに続く「宮崎県畜産新生推進プラン」に基づき、防疫体制の強化をベースに、生産基盤の強化や畜産物の輸出戦略等が進められているところであります。 これまでの取り組みにより、昨年は、全国和牛能力共進会における史上初となる内閣総理大臣賞3大会連続受賞や、宮崎牛を初め県産牛肉の輸出額が過去最高の35億円を超えるなど、本県畜産業にとって明るい話題が続いた年でありました。 一方で、ことし3月には、韓国で13カ月ぶりに口蹄疫の発生が確認され、さらに8月には、東アジアでは初めて中国でアフリカ豚コレラが発生し、その後続発しております。 本県に地理的にも近く、人や物の交流が盛んな東アジア地域での家畜伝染病の発生状況を見ますと、非常に脅威であり、これまで以上に防疫体制を強化する必要があり、このようなことからも、家畜防疫対策や食品の安全性確保など、公務員獣医師の担うべき役割はますます重要となっております。 一方、県の公務員獣医師につきましては、口蹄疫発生時、国の口蹄疫対策検証委員会の報告において、宮崎県は、肉用牛の数は全国3位、養豚は全国2位の畜産県だが、他の都道府県と比較して、家畜防疫員の負担は格段に大きいことが指摘されました。 具体的には、家畜保健衛生所の獣医師1人当たりの管理頭数として牛、豚、鶏の飼養頭数を換算係数に基づき計算したものを「家畜衛生単位」と言いますが、これが当時、全国平均が4,244に対し、本県は1万5,342と約3.6倍でありました。 この指摘を踏まえ、県では公務員獣医師の確保に取り組んできたと思いますが、現在の家畜保健衛生所の獣医師職員数の状況について、農政水産部長にお伺いいたします。 ◎農政水産部長(中田哲朗君) 県におきましては、平成23年度に策定いたしました獣医療計画に基づき、家畜保健衛生所の獣医師を平成32年度までに20名程度増員し、68名とすることとしております。 本年度の家畜保健衛生所の獣医師数は、再任用職員を含め66名となり、また、獣医師1人当たりの家畜衛生単位も、牛換算で口蹄疫発生当時の1万5,342頭から1万2,423頭と、改善の方向にあります。 お話がありましたとおり、近隣諸国におきましては、口蹄疫やアフリカ豚コレラ等が多発しており、海外からの家畜伝染病の侵入リスクがますます高まる中、家畜防疫対策の強化はさらに重要となっておりますので、引き続き獣医師の安定確保に努めてまいります。 ◆(山下博三議員) これまでの取り組みにより、家畜保健衛生所の獣医師職員数は、平成23年度に比較し増加しております。さらに、職員1人当たりの家畜頭数も減少し、他の畜産県並みにはなってきたとのことでありますが、口蹄疫や鳥インフルエンザ、さらにはアフリカ豚コレラなど、新たな伝染病に対する農場防疫指導など、県職員の果たす役割はますます重要になっていると考えられます。先日は岐阜でも、26年ぶりに豚コレラが発生したということであります。 このような中、家畜保健衛生所の獣医師職員のうち、女性の割合がふえてきており、再任用職員も家畜保健衛生所に10名配置され、職員構成も多様化していると伺っております。 今後、公務員獣医師が専門的な能力を十分に発揮し、本県の防疫レベルを向上させ、畜産の発展に寄与していくためには、新卒者を確保し、安定的な体制をつくっていくことが重要であると考えます。そこで、県職員獣医師の確保のための取り組みについて、農政水産部長にお伺いをいたします。 ◎農政水産部長(中田哲朗君) 県におきましては、平成24年度に、庁内に総務部、福祉保健部及び農政水産部の職員で構成する「獣医師確保推進協議会」を設置し、関係部局が一体となって獣医師確保に取り組んでいるところであります。 具体的には、全国の獣医系大学の就職説明会や出張講義、インターンシップの受け入れ等を通して、県職員獣医師のやりがいや魅力を発信するとともに、修学資金の貸与のほか、既卒者の随時募集を行うなど、幅広い取り組みを進めております。 しかしながら、現在、獣医系大学の卒業生のうち、都道府県への就職は全体の約1割にとどまるなど、県職員獣医師の確保は厳しい状況にあります。 本県の畜産振興を図る上では、安定的な防疫体制の構築が重要でありますので、今後とも県職員獣医師の確保に向け、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。 ◆(山下博三議員) 若手職員がやりがいを持って働ける環境づくりを、ぜひお願いしたいと思います。引き続き県職員獣医師の確保に向けて努力していただくよう、要望をいたしておきます。 最後の質問になりますが、平成29年度の宮崎県産牛肉の輸出量は、香港、アメリカ、さらには台湾を中心に、過去最高の約394トンとなっております。 このような中、来年度には、EUへ牛肉を初めとする県産食肉輸出に向けた、ミヤチク都農工場が稼働する予定であります。 同工場が、早期に対EU輸出認定認可を取得することで、さらなる本県産牛肉の輸出拡大のための基盤整備が図られることになります。このことは、関係者はもちろん県民の皆様から大きな期待が寄せられております。 一方、海外輸出相手国が14カ国にも上り、それぞれの輸出認定工場では、毎月の国の査察や輸出国の査察官による検査に合格する必要があるなど、大変厳しい衛生管理が求められております。 このため、工場を所管する食肉衛生検査所においては、海外輸出対応に伴う衛生指導や輸出証明書の発行等の大きな役割を担っており、これら業務を行うための人材を養成していくことが重要であると考えております。 そこで、海外輸出国、輸出量が増加していく中で、海外輸出に向けた検査業務を担う食肉衛生検査所獣医師の人材育成について、福祉保健部長にお伺いをいたします。 ◎福祉保健部長(川野美奈子君) 海外輸出対応のため、食肉衛生検査所には、輸出認定工場に対する相手国の基準に応じた検査とともに、当該工場における適切な衛生管理等について検証を行うことが義務づけられているところです。 さらに、輸出相手国政府による査察が、食肉衛生検査所に対して行われますことから、職員である獣医師には、高いレベルの検査技術の習得が求められているところであります。 このため県では、職員が最新の知識や技術を習得できるよう、外部講師による研修会の開催、米国政府機関や海外屠畜場への派遣を行っているところであります。 また、宮崎大学の協力のもと、感染症対策などテーマを絞った研修会を実施し、職員の専門性の向上にも努めているところです。 今後とも、国や大学など関係機関と連携しながら、輸出拡大に向け、積極的な人材育成に取り組んでまいります。 ◆(山下博三議員) 最近、中国からのたくさんの観光客がお見えになる中で、いつアフリカ豚コレラ、そしてアジア圏はほとんど汚染国でありますから、いつ病気が入ってもおかしくない状況でありますので、それぞれの役割をしっかりと担っていただきますようにお願い申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○副議長(外山衛) 次は、野﨑幸士議員。 ◆(野﨑幸士議員) 〔登壇〕(拍手) こんにちは。宮崎県議会自由民主党の野﨑幸士です。 9月定例議会に当たり、議長のお許しをいただきましたので、質問通告書に従いまして質問を進めてまいります。 今回の質問が、恐らく私の1期目の最後の質問となりますので、思いを込めて質問していきたいと思っております。 私は、平成19年に清武町議会議員に初当選した直後、まだ議員としてぴかぴかの真っさらな状態で、「平成の大合併」、いわゆる市町村合併問題の大きな政治判断に直面しました。合併賛成か反対か、町は二分され、その判断に新人議員の私にも大きな責任が課せられ、時には住民から圧力もありました。しかし、この経験が今の糧になっていると感謝しています。 国や県が進めてきた市町村合併、主に平成18年から22年にかけて行われ、本県で44あった市町村の数は26に減り、行政事務の効率化・スリム化がなされ、合併特例債という市町村にとって有利な財政措置により、インフラ整備等々が急速に進められてきました。 しかし、一方では、合併によって行政区域が広域になったことにより、地域の隅々までの行政サービスが低下した、職員が減り行政と住民との距離が広がった気がするなど、住民の不満や不安といったさまざまな問題が起こったのも事実でございます。 私が県議会議員になってまず質問したのが、この市町村合併についてでした。知事が、平成19年から東国原英夫前宮崎県知事のもとで副知事に就任され、その後、知事に就任された時期にまさしくこの市町村合併が行われ、各自治体でその後の地域づくり・まちづくりが進められてきたわけでございます。平成の大合併が行われて約10年、合併直後の不満や不安といったものも落ちついてきていると感じますが、市町村合併後の本県の各自治体の町づくり・地域づくりをどのように評価しておられるか、知事にお伺いいたします。 以下の質問は、質問者席よりお伺いしてまいります。(拍手)〔降壇〕 ◎知事(河野俊嗣君) 〔登壇〕 お答えします。平成の合併に対する評価についてであります。 本県では、平成の合併によりまして、合併前に44あった市町村が、現在の26市町村になったところであります。この間、合併を選択した団体、合併を選択しなかった団体のいずれにおきましても、その地域の将来をめぐり、さまざまな議論を経て、その選択がなされ、現在に至っているものと認識をしております。 合併の効果としまして、道路や下水道といった社会基盤の整備などが旧市町村の境界を越えて計画的に行われたり、行財政運営の効率化などが進められている、さらには地域の多様な魅力を生かした地域づくりが進んでいる、そのような自治体もあると考えております。現在、深刻な人口減少期を迎えまして、住民に最も身近な行政サービスの担い手である市町村は、例えば地域包括ケアシステムの構築でありますとか、午前中も議論がありました新たな森林経営管理システムにおいて重要な役割を果たすことが求められるなど、ますます複雑化・多様化する行政課題に直面し、その役割というものへの期待は高まってきております。 県としましては、今後とも、基礎自治体である市町村の機能が将来にわたって十分に果たされますよう、しっかりと連携を図ってまいりたいと考えております。以上であります。〔降壇〕 ◆(野﨑幸士議員) 合併から約10年、この間、新しい行政区での地域づくり・まちづくりが進められたスピードよりも、少子高齢化・人口減少の進展のスピードのほうが速いため、ようやく形になってきたおのおのの地域は、既に大きな社会問題を背負っている状況ですので、地域間格差の出ないよう、均衡ある発展のためにしっかりと市町村と連携をとっていくよう要望いたします。 「平成の大合併」のもう一つの狙いは、前段の少子高齢化・人口減少を見据え、合併によるスケールメリットを生かしてさまざまな経費の削減をし、行財政を効率化させることにありました。 御案内のとおり、我が県は、少子高齢化の急速な進展や本格化する人口減少の局面に入っておりまして、約10年前に行われた市町村合併が、現在の少子高齢化・人口減少の施策の一つとして進められてきたことを考えると、大変意義のあることだと評価をしますが、合併後、人口減少は、その加速化に歯どめがかからないほどの喫緊の課題になっており、特に中山間地域を中心に、著しく人口が減少している地域がありますが、このような人口減少が著しい地域の今後の対策をどのように考えておられるのか、お伺いいたします。 ◎総合政策部長(日隈俊郎君) 人口減少が進行する中にあっても、中山間地域の暮らしを維持していくことは、地方創生を実現する上でも大変重要であります。 このため県では、平成27年7月に改定した中山間地域振興計画に基づき、「仕事がある中山間地域づくり」「子育て環境等の整備と移住・定住の促進」「集落の維持・活性化と新たな絆の創造等」「安全・安心な暮らしの確保」の4つの重点施策に全庁を挙げて取り組んでいるところであります。 しかしながら、人口減少の進行は、お話にもありましたが、予想を超えて進んでおり、これまでにない柔軟な発想や視点での取り組みも必要であると考えております。 今年度は、中山間地域振興計画の見直しも行ってまいりますので、地域の暮らしを支える新たな仕組みづくり等について、庁内はもとより市町村等とも真剣な議論を行ってまいりたいと考えております。 ◆(野﨑幸士議員) その地域地域に昔から根差した暮らしがある限り、行政は、その生活・営みを守る一役を担っているという意識を持って、しっかりと取り組んでいただくことを要望いたします。 次に、本県の人口減少問題の中でも深刻な「若者の県外流出」の対策について質問していきます。 若者から、「自分の人生だから、どこで何をやろうが自由やん」と言われたらそれまでですが、そのときにその考えを引きとめ、考え直してもらう、納得してもらう、しっかりとした材料があるかが、この問題の大きな鍵になると思います。 先月公表された学校基本調査の速報値を見ますと、ことし3月に県内高校を卒業し、就職した高校生の県内就職率は、前年と比べ1ポイント上昇し、56.8%となりましたが、依然として低い水準にあり、多くの高校生が県外に流出しています。 県では、高校生の県内就職率が2年連続全国最下位となった平成28年度以降、高校生の県内就職促進に向けた取り組みを強化していますが、この取り組みにおけるこれまでの成果に対する見解と今後の方向性について、商工観光労働部長と教育長にお伺いいたします。 ◎商工観光労働部長(井手義哉君) 県では、高校生が県内企業の魅力に直接触れる機会を提供するため、学年別の企業ガイダンス等の開催や、私立高校の県内就職支援員と県立高校の就職支援エリアコーディネーターが連携して、企業情報の提供や職場体験活動の支援等に取り組んでおります。 このような中で、高校生の県内就職率は3年連続で上昇はしているものの、議員御指摘のとおり、依然として多くの高校生が県外に流出している状況に変わりはないものと認識しております。 このため、本県の将来を担う産業人材の確保に向けて、これまでの取り組みに加え、働き方改革の推進や地域の中核企業の育成等により、働く場所としての魅力を向上させるとともに、こうした魅力や宮崎の暮らしやすさを、高校生だけではなく、高校入学前の早い段階から子供たちに伝える取り組み等を、これまで以上に強化してまいりたいと考えております。 ◎教育長(四本 孝君) 君) 県教育委員会におきましては、平成28年度より、県内企業理解や職場定着に向けた事業を立ち上げ、就職支援エリアコーディネーターを県内6地区に配置し、生徒・保護者向けの企業見学会や地元企業の魅力発信など、企業と学校をつなぐ取り組みを継続的に実施してまいりました。 これらの取り組みから、県教育委員会が実施しております就職状況調査による県立高校の県内就職率は、平成27年度末に52.3%であったものが、平成28年度末には54.4%、平成29年度末には57.4%と、着実に県内定着の成果が出きていると考えております。 しかしながら、近年の好調な雇用情勢を背景として、県外企業からの求人熱はますます高まっておりますので、県教育委員会といたしましては、今後とも県内企業と学校の連携を強化する取り組みを進めるとともに、宮崎で暮らし働くことのよさを認識し、郷土愛を育むキャリア教育の充実に、より一層努めてまいります。 ◆(野﨑幸士議員) 就職を決めるのは、最後は生徒本人かもしれませんが、高校生の年齢では、なかなか最初から最後まで全てを一人では決め切れないと思います。 答弁にあったように、保護者へのアプローチ、また、おのおのの学校の卒業生が活躍している企業の洗い出し等、生徒にとってより身近に、よりリアルに地元企業の魅力を理解してもらえるような取り組みを進めていただくことを要望いたします。 高校卒業後の県内就職率が常にトップクラスの富山県では、中学2年生を対象に「社会に学ぶ「14歳の挑戦」」という職場体験を実施しているようです。 毎年、一般企業、官公庁など3,000カ所以上の事業所から協力を得て、生徒全員が参加し、生徒が憧れる、また興味を持った仕事に対して地元の事業所が生徒を受け入れているという内容です。平日の5日間、自宅から直接「職場」へ通い、昼食休憩を挟んで約7時間の業務をこなし、その中で、地域の方々の働く姿から、自分自身の適性や可能性を考える機会を得て、仕事の喜びを感じ、地元の方々の温かさに触れ、郷土愛が芽生え、高校卒業後の県内就職につながっていると評価されているようですが、本県では、こういった中学生、早い段階での取り組みは行われていないのか、お伺いいたします。 ◎教育長(四本 孝君) 君) 本県におきましても、全ての公立中学校において職場体験を実施しているところであります。 職場体験については、活動期間が主に2日から3日となっておりますが、子供たちの勤労観・職業観を醸成するとともに、地元の方々との触れ合いや地元企業を知る貴重な機会となっておりますことから、効果的な実施方法について、教員を対象とする研修を通じて啓発しているところであります。 また、職場体験につながるものとして、中学生キャリアフォーラムの開催や、地元企業等と連携し、地域の大人が学校を訪問して地元で働く喜びや苦労などを語る「よのなか教室」の普及・啓発など、発達段階に応じた、中学校におけるキャリア教育の充実にも取り組んでいるところであります。 ◆(野﨑幸士議員) 先ほどの富山県の取り組みは、職場体験の当日だけでなく、事前・事後学習も含めてカリキュラムを設定している学校もあり、職場体験先は、可能な限り生徒の希望がかなうように配慮をされているようです。 いきなり富山県みたいな取り組みはできないと思いますが、今やっている取り組みを、もっと県が主体となって着実に充実した職場体験に発展させていくよう、要望いたします。 また、本県では、高校生の県内就職・進学を促進するために、高校1年の生徒や保護者、教職員を対象に、県内企業や業界団体等を一堂に会し、「宮崎県内就職・進学体験フェア」を開催しているようですが、その内容と参加した生徒の反応についてお伺いいたします。 ◎商工観光労働部長(井手義哉君) 「県内就職・進学体験フェア ~ごっこ~」と申しておりますが、これにつきましては、お話にありましたように、高校1年生や教職員等に対し、就職や進学における県内でのさまざまな選択肢を紹介することにより、高校生のキャリア形成を支援することを目的として、平成28年度から実施しております。 その内容は、参加者が企業や大学等のブースを回り、実際の仕事や講義内容を体験するというものでありまして、平成29年度に参加した高校生2,227名へのアンケートにおきましては、95%の生徒が、「企業・進学先の魅力が伝わった」と回答しており、例えば、「県内にも自分の知らない仕事や進学先があると知った」「今回の体験をもとに、自分に合う仕事を見つけたい」などの感想が寄せられております。 今年度も12月に開催することとしており、具体的な内容は今後検討することとなりますが、参加者の進路選択に役立つ魅力的なフェアにしてまいりたいと考えております。 ◆(野﨑幸士議員) 聞いたところ、昨年度と同規模のフェアを開催するには会場が手狭で危険だということで、ことしは、県内企業や業界団体等の募集を減らしたとお聞きしました。 参加者の安全確保という面からは仕方ないことだと思いますが、参加に意欲のある企業や業界団体等にとっては、高校生に対する最大のアピールチャンスと思いますので、高校生の県内就職・進学を促進するという意味でも、いろいろと企画を練っていただくことを要望いたします。 この人口減少問題を我が県の喫緊の課題と位置づけるのであれば、「若者の県外流出の抑制」対策のほかにも雇用の創出や、6月にも質問させていただきましたUIJターンの促進、子育て支援の充実等、大変厳しい財政状況なのは承知しておりますが、しっかりとした予算確保と充実した着実な事業の進展を強く要望いたします。 先ほど、「平成の大合併」は人口減少と少子高齢化時代を見据えた施策の一つだと申し上げましたが、次に高齢化時代の備え、対策の進捗状況について質問していきたいと思います。 2025年には、団塊の世代が75歳を超えて超高齢化社会を迎え、医療・介護の需要が急増し、財政不足から現行の社会保障制度が行き詰まるおそれがある「2025年問題」が懸念されています。 2025年には本県の高齢者は、現在よりも2万3,000人ふえると推計されていて、現在、第7期介護保険事業支援計画に基づいて、さまざまな体制づくりが進められているところですが、高齢化の進展によって、介護が必要な高齢者や障がい者が、家庭でも病院でも施設でも介護を受けることができない、いわゆる「介護難民」の対策についてお伺いいたします。 ◎福祉保健部長(川野美奈子君) 本県の要介護等認定者は、2025年には現在より9,000人ふえ、6万7,000人を超えると推計されております。 このような中、県では、ことし3月に策定しました第7期介護保険事業支援計画の中で、今後3年間で必要な介護サービス量を見込み、施設等の計画的な整備や介護人材の確保に努めているところであります。 また、計画における施策の柱として、「自立支援に向けた取り組みの推進」を新たに掲げ、介護予防など、高齢者が可能な限り健康で自立した生活を送るための施策に積極的に取り組んでおります。 県としましては、高齢者が要介護状態になっても、必要とされる介護サービスが十分に受けられるよう、市町村や関係団体とも連携しながら、計画の実現に向けて、引き続き取り組んでまいりたいと考えております。 ◆(野﨑幸士議員) 本県では、2025年には3,700人の介護人材が不足する推計もありますので、まずは介護人材の確保と育成に力を入れていただくことを要望いたします。 また、本県の平均寿命は、男性が80.34歳、女性が87.12歳、健康寿命は、男性が72.05歳、女性が74.93歳です。この平均寿命と健康寿命の差を縮めることが、医療費や介護費の削減につながりますので、引き続き健康寿命日本一を目指しての取り組みを進めていただくことを要望いたします。 さて、国は、2025年には今に比べ医療ニーズが膨らみ、病院を中心とした提供体制では受けとめ切れなくなるとして、「病院から在宅へ」方向づけをしておりますが、その受け皿となる地域の体制づくりも重要になってきます。 国は、2025年までに、高齢者が、病気になっても介護が必要となっても住みなれた土地で暮らし続けられるよう、住まいを中心に、その周りを取り囲むように、医療や介護、予防・生活支援の一体的な体制「地域包括ケアシステム」の構築を全国にくまなく広げていくよう進めておりますが、本県の取り組み状況をお伺いいたします。 ◎福祉保健部長(川野美奈子君) 地域包括ケアシステムは、2025年に向け、全ての市町村が地域の実情に応じて構築していくこととされております。このため、市町村におきましては、高齢者の自立を支援するための「地域ケア会議」を推進するとともに、認知症の人や家族を支える「認知症初期集中支援チーム」や、地域の支え合いを促進する「生活支援コーディネーター」を設置するなど、さまざまな取り組みを進めているところであります。 県といたしましては、広域的な取り組みとして、入院や退院時に医療と介護の連携を図るための「入退院調整ルール」の策定を行ったほか、研修会の開催や医療・介護人材の育成など、市町村の取り組みが円滑に進むよう、積極的な支援を行っているところであります。 ◆(野﨑幸士議員) この「地域包括ケアシステム」の構築が、2025年問題、またそれ以降の超高齢化社会を乗り切る受け皿としての地域の形になりますので、まずは、この「地域包括ケアシステム」の理解を広め、認知度を上げること、特に中山間地域等、地域によっては広域な連携が必要な地域も出てくると思いますので、市町村に対しまして、県としての指導・助言・支援を行っていただくことを要望いたします。 次に、風水害対策について質問します。 先日、9月6日に発生した「北海道胆振東部地震」、死者41名、多くの重軽傷者、家屋の倒壊、長引いた停電等々、甚大な被害になりました。 また、記憶に新しい、約2カ月前に発生した「西日本豪雨」、8月21日時点で、死者221名、住宅の全壊6,206棟、河川の氾濫、土砂災害、断水、鉄道の運休等々、こちらも甚大な被害になりました。 お亡くなりになられた方々に心から御冥福をお祈りし、被災された方々へ心から御見舞いを申しますとともに、早期の復旧復興を心から祈念いたします。 我が県におきましては、災害の話になりますと、どうしても南海トラフ巨大地震を想定した防災・減災対策が主になりがちですが、今回の西日本豪雨災害の状況、また最近の台風等の気象状況を鑑みても、我が県においても豪雨に対するさまざまな備えを講じておく必要があると、強く感じたところです。 まず、西日本豪雨災害の状況をどのように受け取られたのか、危機管理統括監と県土整備部長にお伺いいたします。 ◎危機管理統括監(田中保通君) ことしは、西日本豪雨や相次ぐ台風の襲来により、大規模な風水害が続いており、改めて自然の驚異と、命を守る行動の大切さを認識したところであります。 西日本豪雨では、避難指示等が発令されたにもかかわらず、実際に避難した人は対象者の4.6%程度との報道もあります。 災害による人的被害をなくすためには、まずは一人一人が、自分の命は自分で守るという「自助」、そして地域で支え合う「共助」が大切となるほか、行政におきましても、安全・迅速な避難行動につながる防災情報を適切なタイミングで発信することが大変重要だと考えております。 県民一人一人が、命を守る行動について真剣に考えていただき、早期避難していただけるよう、今後もさまざまな機会を捉え、より一層、啓発に努めてまいりたいと考えております。 ◎県土整備部長(瀬戸長秀美君) 今回の平成30年7月豪雨、いわゆる西日本豪雨における相次ぐ堤防決壊による大規模な浸水や、土石流に埋め尽くされた住宅地など、甚大な被害の状況に、これまでにない危機感を持ったところであります。 一方で、河川改修やダム改造、砂防堰堤などの整備により被害が防止、軽減されたとする報道を聞きますと、ハード整備の重要性を再認識するとともに、その整備を着実かつスピード感を持って推進すべきであると強く感じたところであります。 さらに、計画規模を超える降雨により発生する、施設では防ぎ切れない水害や土砂災害に対しては、みずから命を守るソフト対策も重要であると改めて認識したところであり、住民みずからの迅速かつ確実な避難を促す対策をさらに充実させてまいりたいと考えております。 今後とも、予算の確保に努めるとともに、国や市町村と連携を図りながら、ハード・ソフト対策を着実に進めてまいりたいと考えております。 ◆(野﨑幸士議員) まず、避難勧告・避難指示等は、空振りを恐れず、早めに出すことが重要とされています。しかし、危機意識が薄く、なかなか自助が働かない―私もそうかもしれませんが―それが現状だと思います。 また、自治会加入率の低下等を見ても、いざというとき、しっかりと共助が働くのも、まだまだ広がっていないと思います。地道な啓発活動と地域のきずなづくりが、この自助・共助につながると思いますので、市町村と連携して、根気強くしっかりと取り組んでいただくことを要望いたします。 また並行して、ハード整備の着実な進行ももちろん重要です。西日本豪雨災害での状況を見ても、全体で1,732件の土砂災害が起きており、土石流による住宅街の被害が甚大でした。広島県内では、住宅街のすぐ裏手で土石流が発生し、624件もの土砂災害が発生し、87人が亡くなっています。広島では4年前にも大規模な土砂災害が発生し、これを契機に土砂災害防止法が改正され、国民の生命を守るために、必要なソフト面の施策を行うことを目的に、各都道府県では、土砂災害警戒区域、土砂災害特別警戒区域という2種類の指定を行っているところですが、急傾斜地崩壊危険箇所のハード対策はどのような状況なのでしょうか。 急傾斜地とは御存じのとおり、傾斜が30度以上ある崖のことで、急傾斜地の崩壊に対する事業に採択されますと、崩壊による被害防止・軽減のための擁壁等の設置工事が行われますが、急傾斜地崩壊危険箇所における、急傾斜地崩壊対策事業の採択条件をお伺いいたします。 ◎県土整備部長(瀬戸長秀美君) 急傾斜地崩壊対策事業には、県が事業主体となります国の交付金事業と、市町村が事業主体となる県費補助事業がございます。 県が実施する事業の採択条件は、急傾斜地の崖高が10メートル以上の自然崖の箇所で、人家10戸以上で被害を及ぼすおそれのあるものとなっております。ただし、地域防災計画書に位置づけられた避難路や、幼稚園、老人福祉施設等の要配慮者利用施設に被害を及ぼすおそれがあるものは、人家が5戸以上となります。また、地域防災計画書に位置づけられた避難場所等に被害を及ぼすおそれのあるものについては、人家戸数にかかわらず対象となります。 一方、市町村が実施する事業の採択条件は、急傾斜地の崖高が5メートル以上の自然崖の箇所で、人家5戸以上に被害を及ぼすおそれのあるものとなっております。ただし、人家が5戸未満であっても、学校や病院等に被害を及ぼすおそれのあるものについては対象となります。 ◆(野﨑幸士議員) 次に、急傾斜地における崩壊防止対策の整備状況を、お伺いいたします。 ◎県土整備部長(瀬戸長秀美君) 県内には、急傾斜地崩壊危険箇所が8,314カ所あり、このうち保全対象人家が5戸以上の箇所や、老人福祉施設等の要配慮者利用施設がある箇所など、優先すべき2,680カ所を対象に整備を進めており、その整備率は、平成30年3月末で30%となっております。 しかしながら、施設整備には膨大な費用と時間を要することから、県としましては、住民の早期避難を促すため、土砂災害警戒区域等の指定による危険箇所の周知や、防災意識の向上を図るための講座を開催するなど、ソフト対策にも力を入れて取り組んでいるところであります。 今後とも、国や市町村などと連携を図りながら、ハード・ソフト一体となった土砂災害防止対策を、しっかりと推進してまいりたいと考えております。 ◆(野﨑幸士議員) 整備率が30%ですから、費用と時間がかかるということで、なかなか進んでいないようですが、特に市町村が実施する事業においては、各市町村での財政的な格差によって、その進捗状況にも差が出てくることが懸念されますので、ソフト面の対策もしっかり取り組んでいただくことを要望いたします。 次に、「堤外民有地」について質問いたします。堤外民有地とは、河川区域内に存在する民有地のことですが、我が県における堤外民有地の現状をお伺いいたします。 ◎県土整備部長(瀬戸長秀美君) 河川は、自然発生的な公共物であり、長い歴史の中で、洪水などによる氾濫、蛇行を繰り返してきたことから、その流れを大きく変えてきました。その際、民有地が河川区域内に取り込まれたこと等により、多くの河川に民有地が存在することになったと考えられております。 このため、県内の多くの河川におきましても、堤外民有地が存在するものと存じます。 ◆(野﨑幸士議員) 本県でも多くの河川に存在するとのことですが、例えば、侵食等で危険度が高まっている河川が存在して、そこが堤外民有地だったとしたら、基本、手がつけられないということになり、大雨時には、河川の氾濫等を招き、その地域住民を巻き込む大災害に発展することが懸念されますが、堤外民有地の対策についてお伺いいたします。 ◎県土整備部長(瀬戸長秀美君) 災害復旧などの河川工事を行う場合、工事に必要な用地の範囲にある堤外民有地は、買収をする必要がございます。 しかしながら、堤外民有地につきましては、不明者や共有地、さらに字図混乱地などが存在することが多く、用地境界の確定や用地交渉に多大な労力と時間を要しますことから、不在者財産管理人制度などを活用しながら、用地取得を進めているところであります。 緊急的に工事を行う必要がある災害復旧工事において、用地買収が困難な堤外民有地が含まれる場合には、やむを得ず、施工方法の見直しや応急的な工事を行っているところであります。 ◆(野﨑幸士議員) 用地買収も困難な堤外民有地、本当に深刻な、また厄介な問題だと思いますし、また、その河川域の住民の方々は、堤外民有地のことを理解していないので、護岸工事の要望が頻繁になされるわけです。 こういったことからも、このような地域の住民の方々に堤外民有地の周知を行い、危機意識、ソフト対策を促す取り組みも大事になってくると思います。国会でも幾度となく、この堤外民有地については議論がなされていますが、結論には至っていません。こういった、国の力が必要な案件に地方が困惑し、そこに住む地域住民が不安を抱えているのは、私は間違っていると思いますので、国のほうにも積極的に要望していただくことをお願いいたします。 さて、6月議会にて、災害廃棄物について一般質問をさせていただきましたが、議会終了後すぐに「西日本豪雨災害」が発生し、災害廃棄物の処理が大きな問題となりました。運び出されたごみが道路を塞ぎ、一部では車両の通行を妨げ、渋滞の原因にもなっているところや、気温が高かったため衛生面も危惧されましたが、我が県において、膨大な災害廃棄物が発生したときの市町村との連携や事前の対策について、お伺いいたします。 ◎環境森林部長(甲斐正文君) 西日本豪雨災害においては、発生直後から、道路沿いに災害廃棄物が山積するなど、初動体制や連絡体制の不備が指摘されており、改めて、市町村との連携や事前対策の重要性を認識したところであります。 このため県では、事前対策の一つとして、先月8月2日に、災害廃棄物処理に係る研修会を、市町村職員を対象に開催いたしました。この中で、東日本大震災で災害廃棄物処理に尽力された方の講話や、初動対応に欠かせない仮置き場の設置条件等について、参加者みずからが考えるワークショップを実施し、災害廃棄物への対応力を向上させる人材育成の取り組みを行ったところであります。 また、平成29年2月に設置した、官民で構成される災害廃棄物処理対策ネットワーク会議を活用しまして、市町村はもとより、民間団体との連携強化に努めているところであります。 ◆(野﨑幸士議員) 災害時に最も大事なことは、人命を救うことですが、膨大な災害廃棄物の処理のおくれが、その救助の阻害、救援物資の阻害、また復旧作業の阻害、生活の阻害になることを鑑みると、大災害への防災・減災対策と並行して、この災害廃棄物処理対策も重要と考えますので、市町村、民間事業者との連携体制の構築も着実に進めていただくことを要望いたします。 次に、林業振興について質問いたします。 本県の木材産業は、代表である杉素材生産量が27年連続日本一となるなど、国内でも確固たる地位を築いている一方で、さまざまな問題を抱えています。 本県の森林面積は、県土全体の76%に当たる約58万6,000ヘクタールで、うち民有林が約40万8,000ヘクタール、70%となっており、そのうち人工林が約23万3,000ヘクタールで、人工林率は57%となっているようです。 民有林の杉の人工林は17万ヘクタールで、その齢級構成は―齢級とは、苗木を植栽した年から5年幅でくくった年齢のことですが―標準伐期齢の35年を超える8齢級以上の林分が78%を占めているようです。このように齢級に偏りのある状況では、将来にわたって森林経営を持続していく上で問題があると考えます。 そこで、人工林の齢級構成を平準化するためには、若い人工林を確保していく必要があると考えますが、県の再造林への取り組みについてお伺いいたします。 ◎環境森林部長(甲斐正文君) 本県人工林につきましては、議員御指摘のとおり成熟林が多く、若い森林が少ないことから、持続的な森林経営のためには、平準化に向けて、若い人工林を確保するための再造林が最も大きな課題であると考えております。 このため本県では、再造林を推進していくために、国の森林整備事業に積極的に取り組むとともに、県の森林環境税を活用して、一定の要件を満たす速やかな再造林に対し、かさ上げ補助も行っているところであります。 また、造林の省力化や低コスト化につながる「伐採と造林の一貫作業システム」を事業化するとともに、今後、需要の増加が見込まれるコンテナ苗の安定供給に向けた取り組みを行っているところであります。 今後とも、これらの取り組みを通じて、着実に再造林を進めてまいりたいと考えております。 ◆(野﨑幸士議員) さまざまな取り組みを行っているようですけど、資源の循環、森林経営を持続させていく上でも再造林の着実な進展は必須ですので、しっかりと取り組んでいただくことを要望いたします。 このように、持続可能な森林経営が推進されている中、これらの取り組みを阻害する要因の一つに「誤伐・盗伐」問題があります。 最近では、報道等でこの誤伐・盗伐問題が全国的に頻繁に取り上げられ、警察を初め、関係者の方々の関心も高まっているので、大分抑止力が働いているのではないかと察しますが、本県の誤伐・盗伐の現状をお伺いいたします。 ◎環境森林部長(甲斐正文君) 県及び市町村が把握している、誤伐及び盗伐が疑われる森林伐採についての相談件数は、統計をとり始めた平成26年度が2件、27年度が4件、28年度が19件、29年度が42件、30年度、現在7月末までに10件と、これまでに計77件となっております。 ◆(野﨑幸士議員) この問題が頻繁に叫ばれるようになって、関係者の関心の高まりが相談件数の増加につながっていると思いますが、誤伐・盗伐を未然に防ぐ取り組みについてお伺いいたします。 ◎環境森林部長(甲斐正文君) 県では、誤伐や盗伐の未然防止対策として、市町村に対し、伐採届け出の審査の厳格化を指導するとともに、昨年8月に締結した協定に基づき、警察等と合同で伐採パトロールを実施するなど、監視の強化に取り組んでおります。 加えて、森林所有者に対しては、相談窓口の設置や、各市町村の自治会を通じたチラシの配布による注意喚起を、伐採事業者に対しては、境界確認の徹底などの指導を行うとともに、今年度からは、適正な伐採を普及するため、県内の伐採事業者が自主的に行う研修を支援しております。 また、中長期的な対策として、境界の明確化を図るため、市町村が行う林地台帳の整備や適正な運用、森林の境界測量を支援しております。 今後とも、市町村や関係団体、警察等と連携しながら、誤伐や盗伐対策の一層の強化に努めてまいりたいと考えております。 ◆(野﨑幸士議員) 伐採届の受理を行う市町村への審査の徹底指導や連携を初め、境界を明確化する地籍調査の進展等、しっかり取り組んでいただくことを要望いたします。 また、林業の担い手の減少も深刻化しています。平成17年の国勢調査による本県の林業就業者数は2,311人、平成22年では、16%増加の2,690人でしたが、平成27年は、平成22年から17%減の2,222人でした。65歳以上の割合、高齢化率は、平成22年の19%だったのが、平成27年では23%と高い水準にあります。 近年、新規林業就業者は増加傾向にあるようですが、年々伸びる高齢化率等を鑑みますと、林業の担い手育成と確保は大変重要な課題だと思いますが、今までの取り組みと成果、今後の方向性についてお伺いいたします。 ◎環境森林部長(甲斐正文君) 本県の林業担い手の確保・育成対策につきましては、県内外における林業就業相談会の実施や各種相談会への参加に加え、「みやざき林業青年アカデミー」やUIJターン希望者の体験研修、女性の活躍のための活動支援などに取り組んでおります。 また、新規林業就業者にとって働きやすい環境づくりを促進するため、福利厚生や労働安全衛生の充実に対し支援を行っているところであります。 その結果、平成29年度の新規林業就業者数は178名となっており、例年並みの就業者を確保しております。 今後とも、こうした取り組みを積極的に展開するとともに、来年度開講予定の「みやざき林業大学校」において、実践的な人材育成を総合的に行うこととしておりまして、市町村や教育関係者、関係団体等との連携を一層強化し、担い手の確保・育成に取り組んでまいりたいと考えております。 ◆(野﨑幸士議員) 平成28年11月に設立された、みやざき森林・林業の女性の会「ひなたもりこ」の取り組みは、男色の強い林業のイメージを変える意味でも本当に期待している取り組みです。林業女子がふえてくれれば、男子も林業へのイメージが変わって興味を示すことは間違いないと思います。 また、労働環境の改善・向上、特に所得向上が安定した生活につながりますので、しっかり関係機関と取り組んでいただくことを要望いたします。 答弁にもありましたが、来春、4月に開講する「みやざき林業大学校」、基礎から実践的な知識・技術の習得や林業就業に必要な資格を取得し、本県林業の即戦力となる担い手を育成するとして、大変期待されております。 先日、高知県立林業大学校と群馬県立農林大学校へ視察にお伺いし、カリキュラム等の説明を受けました。お話を聞いてみると、学生募集については、地元の高等学校の林業を専攻する学科から入学してくる学生がいるとのことでした。本県の高等学校の現状はどうなっているのか、お伺いいたします。 ◎教育長(四本 孝君) 君) 林業に関する学科につきましては、入学希望者の大幅な減少によりまして、平成2年に宮崎農業高校、平成17年に門川農業高校、平成21年には日南農林高校の林業に関する学科を募集停止しておりますことから、現在、林業に特化した学科は設置をされておりません。 しかしながら、林業が盛んな地域におきましては、農業系学科の教育課程の中に「林業の学び」を取り入れ、産業人材の育成を行っているところであります。具体的には、門川高校の林業を専攻するコースにおいて、「森林科学」等の専門科目を設定し、演習林実習など実践的な学習を行っております。また、高千穂高校や日南振徳高校では、林業科目を選択できるようにしております。 近年、林業界からの人材育成の要望も高まっている現状がございますので、今後とも関係部署と連携を図ってまいりたいと考えております。 ◆(野﨑幸士議員) 定員割れが続き、林業に関する学科はなくなったとのことです。冒頭に、高校生の県内就職について質問させていただきましたが、特にこのような専門性を要する、しかも来春その大学校を開講するとなれば、高等学校に、しっかりと専門的に林業が学べる科を設け、若いうちに興味を持たせ、専門的な人材を育成し、さらに大学校でその専門性を磨く流れを構築すべきだと考えます。 来春開校の「林業大学校」は、募集定員が15名となっています。こういった募集も、県内に林業科の高等学校があれば、そんなに心配することではないのかなと思います。全国でも確固たる地位を築いている林業県宮崎ですので、高等学校への林業科設置を含めた人材育成の調査・研究にしっかり前向きに取り組んでいただくことを要望いたします。 次に、農政について幾つか質問していきます。 2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて、本県でもおもてなしプロジェクトが進められ、宮崎の誇る食材・食文化の提供に向けての取り組みが進んでいます。 東京オリンピック・パラリンピックでは、選手村などで提供される食材については、食の安全や環境保全などを要件にした食材調達基準が定められていて、農作物についてはGAP(農業生産工程管理)の取得した産地のみが提供できることとされています。 私も過去2回、昨年の8月に策定された宮崎県版「ひなたGAP」を含めたGAP取得について質問をさせていただきましたが、大会まで残り2年となりました。ひなたGAPなどのGAP取得に向けた推進状況についてお伺いいたします。 ◎農政水産部長(中田哲朗君) 本県では、ひなたGAPやJGAPなどのGAP取得を推進するため、県の普及指導員やJAの営農指導員等を対象として、昨年度は142名、今年度は151名を目標にGAP指導員等を育成しておりまして、GAPの普及・啓発や認証を希望する農家等への支援を行っているところであります。 このような取り組みによりまして、現在、ひなたGAPでは、6経営体が認証を受け、グローバルGAPやJGAP等を含めますと、県全体で121経営体が認証を受けております。 県としましては、今後とも関係団体と連携して、平成31年度までに200経営体のGAPの取得を目標に推進してまいりたいと考えております。 ◆(野﨑幸士議員) 指導員、取得状況も着実に進んでいることに安心しました。 日本の農作物が世界で一番、新鮮で安全で安心なのがわかっていても、こういったGAP等の認証なしでは、国際的なやりとりの際には何の意味もなしません。今後、我が国で開催される多くの国際的な大会やMICE、また輸出等の際には、こういった認証基準が求められる場面がふえてくると思います。 国も東京オリンピック後は、都道府県GAPをなくし、国際基準に統一する方針です。日本が独自に作ったJGAPについても、2019年初めまでに国際基準にすることを目指し、2030年には、全国に国際水準のGAPを普及させる方向ですので、これを機会に農業従事者の意識向上をさらに拡大してもらい、その一つにGAP取得を進めていくような取り組みの充実を要望いたします。 次に、えびの市長江川問題について質問いたします。 この質問は、6月定例議会にも質問させていただきましたが、4月19日の硫黄山の噴火後1カ月ぐらいたって、私も長江川の調査に行きましたけれども、河川の白濁は大分薄まってきているように感じ、噴火活動も落ち着いてきたのかなと思っていたやさきに、7月10日前後に再び長江川が白濁しました。 こういった中、8月31日に、稲作を断念した310戸の農家163ヘクタールに総額6,100万円の共済金が支給されたところでございますが、重要なのは、ことし稲作を断念した農家が来年は再び営農ができるかです。このまま、長江川の水質が改善されず、農業用水として利用できないことも懸念されます。 先日、えびの市から今期作付を行わなかった水田のうち、来期は最大51ヘクタールで代替水源を活用した取水が可能となる見通しとの説明がなされましたが、現在の農業用水確保の取り組み状況についてお伺いいたします。 ◎農政水産部長(中田哲朗君) 農業用水の確保対策につきましては、現在、えびの市と県が一体となって、水系ごとの整備計画や水源、用水量調査などを実施しているところであります。 また、今議会でお願いしております補正予算によりまして、さらなる詳細調査を進めますとともに、工事実施のための測量設計を行い、地元と調整した上で、順次、既存施設の改修工事に着手することとしております。 さらに、中長期的な対策として、地域外からの水源を利用するための整備や、水を有効活用するための工法などについても、引き続き検討してまいります。 先般、えびの市におきまして、農家向けの説明会が開催されましたが、その報告によりますと、現時点において、河川からの取水ができない場合、全ての農地での農業用水確保が厳しいとの見通しが示されたところであります。 県としましては、今後とも、えびの市や土地改良区などの関係機関と連携し、さまざまな対策を実施し、農業用水の確保に全力で取り組んでまいりたいと考えております。 ◆(野﨑幸士議員) えびの市の説明では、4年後の2022年までには、ことし作付を行わなかった面積の45%に当たる121ヘクタールで取水を開始するとの説明がなされたとのことですが、4年間という時間と、全ての農地が取水できないことを考えれば、転作等の方向転換もやむを得ないと思いますので、えびの市を初め関係機関としっかりと連携して、今後の対応に尽力していただくことを要望いたします。 次に、家畜防疫の取り組みについて質問します。 29万7,808頭のとうとい家畜の生命が犠牲となり、本県に大きな、深い影響を及ぼした、決して忘れてはならない口蹄疫の終息から、先月の8月27日で8年がたちました。 本県では、この8年前の口蹄疫を教訓に、口蹄疫を初めとしたさまざまな家畜伝染病の発生を防ぐため、家畜防疫体制の充実・強化の取り組みを、継続して尽力していただいているところです。 このような中、先ほどもありましたけれども、全世界の豚の生産量の47%を占める中国において、これまでアジアでは見られなかった「アフリカ豚コレラ」が8月に発生し、その広がりは日に日に拡大しているようです。このような状況を見ると、もしかして、もう既に中国全土に蔓延しているのではないかと悪い方向に想像してしまいますが、このアフリカ豚コレラは、豚とイノシシに感染し、ウイルスを含む糞や体液等の接触、ダニによる媒介で感染が広がっていきます。 アフリカからヨーロッパ、そしてロシアと感染が拡大していて、先月8月にアジアで初めて、中国で発生が確認されました。 また、先日、岐阜県岐阜市の養豚場においても、家畜伝染病である「豚コレラ」の感染が確認されました。精密検査の結果、アフリカ豚コレラの感染ではないとのことですが、豚コレラに関する特定家畜伝染病防疫指針に基づいて、防疫の措置が行われております。 本県の豚の飼育数は約82万2,200頭で、全国2位、もし本県でこのような家畜伝染病の発生が確認されれば、口蹄疫と同様、発生農場の豚は原則24時間以内にすべて殺処分、農場周辺には移動制限区域が設定されます。本当に心配しているところでございますが、中国で猛威を振るっているアフリカ豚コレラ、また岐阜県で発生した豚コレラの防疫対応について、お伺いいたします。 ◎農政水産部長(中田哲朗君) お話がありましたとおり、先月、アジアで初めて中国での発生が確認されましたアフリカ豚コレラは、死亡率が高く、ワクチンや治療法がない、養豚業にとって重大な伝染病であります。 このため県では、養豚農家や関係機関に対し、防災メールや文書等により、農場防疫の強化について迅速な情報発信や周知の徹底を図りますとともに、宮崎空港での動物検疫所と協力した渡航者への啓発や、農林水産省の専門官を招いた家畜防疫研修会の開催、各種会議における養豚農家や関係団体等への注意喚起を行ったところであります。 また、中国での急激な発生拡大を受けまして、9月7日には緊急防疫会議を開催し、市町村や関係団体等とさらなる防疫対策の徹底を再確認したところであります。 このような中、9月9日に、国内で26年ぶりとなる豚コレラが岐阜県で発生しましたが、県といたしましては、アフリカ豚コレラと同様、危機意識を持って、侵入防止にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。 ◆(野﨑幸士議員) とにかく、今まで以上の養豚場の消毒、防疫の徹底を促すことと、また、アフリカ豚コレラにおいては、ウイルスに感染した肉を使った加工品、ハムなどが媒介するおそれもありますので、徹底した水際対策を講じられるよう要望いたします。 先ほど、今期最後の質問と申しましたが、月日がたつのも早いもので、もう3年と5カ月がたちました。 県議にならせていただきまして、本当に優しくて頼りがいのある先輩議員、そして執行部の皆様方には、本当に御指導、また、時には叱咤激励をいただきました。本当に感謝をしております。 感謝の気持ちを伝えましたので、私の一般質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○副議長(外山衛) 以上で本日の質問は終わりました。 あすの本会議は、午前10時から、本日に引き続き一般質問であります。 本日はこれで散会いたします。   午後2時49分散会...